けい酸カルシウム水和物【組成物の総称】

　けい酸カルシウム水和物とは、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、水などが様々な割合で結合した組成物の総称である。セメント化学では、［C-S-H］と表記する。

　C-S-Hはカルシウム［Ca］のC、けい酸（シリカ）［Si］のS、水和物（水）のHである。

　常温常圧下で生成する主な成分はけい酸カルシウム水和物［C-S-H］と水酸化カルシウム［Ca(OH)₂］である。

　フライアッシュに含まれている可溶性の二酸化ケイ素［SiO₂］が水酸化カルシウム［Ca(OH)₂］と常温で徐々に化合して、不溶性の安定したケイ酸カルシウム水和物を生成する。

　SiO₂ + Ca(OH)₂ → CaO・SiO₂・H₂O

　セメント水和物中で最も溶解度が大きい水酸化カルシウムが最初に溶解する。固体の水酸化カルシウムが消費されると、けい酸カルシウム水和物［C-S−H］が溶解する。けい酸カルシウム水和物［C-S-H］のCaOが溶出し、Ca/Si比が低下しコンクリートが弱体化する。

　コンクリート中の水酸化カルシウムと反応して、けい酸カルシウム水和物［C-S-H］を生成し、コンクリート中の空隙を充填する。細孔内への結晶の生成によってコンクリート内部を緻密にし、劣化因子の進入を抑制する。また、中性化したコンクリートへのアルカリ性付与効果もある。湿潤下地に塗布し、湿潤養生を行う。

　コンクリート内部にアルカリ性を付与する。乾燥下地に塗布し、乾燥養生を行う。