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海洋コンクリート【海水に接するコンクリート】

○海水による影響
・塩化物イオンの浸透による鋼材の腐食
・海水成分の化学作用によるコンクリートの劣化
・波浪・凍結融解など物理作用によるコンクリート表面の損傷

○構造物に作用する厳しさ

飛沫帯 > 海上 > 海中

 

○硫酸マグネシウム(MgSO₄)による影響

 海水中に溶け込んでいる塩類で最も有害な成分が硫酸マグネシウムである。硫酸マグネシウムはセメントの水和物である水酸化カルシウムと反応して、石こうの結晶と水酸化マグネシウムを生成する。これらが生成される過程で体積膨張が生じる。

 Ca(OH₂)+MgSO₄+2H₂O
  →CaSO₄・2H₂O+Mg(OH)₂
 水酸化カルシウム+硫酸マグネシウム+水

  →石こうの結晶+水酸化マグネシウム

 さらに、石こうの一部はセメント中のC₃Aと反応してエトリンガイト(C₃A・3CaSO₄・32H₂O)を生成し体積膨張が生じる。

○塩化マグネシウム(Mgcl₂)による影響

 塩化マグネシウムはコンクリート中の水酸化カルシウム(Ca(OH₂))と反応して、水溶性の塩化カルシウムを形成し、組織を多孔質にする。

○海洋コンクリートの材料
・化学的抵抗性の観点からC₃Aが少ない中庸熱や低熱セメントが良い
・Ca(OH)₂の生成量が少ない高炉セメントやフライアッシュセメントも良い
・水セメント比は一般のコンクリートに比べて小さくする
・飛沫帯等劣化しやすい場所は単位セメント量を多めにする

○海洋コンクリートの施工
・かぶりは最小かぶり厚さに15mmを加えた値以上
・最高潮位の上60㎝から最低潮位の下60㎝の間は打ち継ぎ目を設けない
・普通ポルトランドセメントを使用した場合、5日間は海水に洗われないよう保護する
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