○材料分離とは
運搬中、打込み中おいてフレッシュコンクリートの構成材料の分布が不均一となる減少である。材料分離が生じるとコンクリートの一部に粗骨材が局部的に集中し、豆板(じゃんか)などの欠陥部ができる。これらの欠陥部は健全なコンクリートと一体となるよう補修しなければならない。
広義の材料分離には打込み後に発生する水の分離である「ブリーディング」も含まれる。
○材料分離の原因
コンクリートが数μmから20 or 40mmまでの粒径を有する固体と液体の混合物であり、さらにそれらの成分の密度が1〜3.16[g/cm³]と大幅に相違しているためである。
○骨材の大きさによる影響
骨材を分離させようとする力は重力である。粒子を球と仮定すると、粒子に作用する重力(体積、重量)は半径の3乗に比例するが、分離を妨げる周辺摩擦は球の表面積であるため半径の2乗に比例する。したがって、骨材が大きいほど体積と表面積の差が大きくなり、分離しやすくなる。
○骨材の形状による影響
丸みをおびた形状の粗骨材は、扁平なものや細長いものに比べて分離しにくい。
○細粒分による影響
骨材の細粒分が増えればコンクリートの粘性が増すため、分離しにくくい。
○単位水量による影響
単位水量が多く、スランプの大きいコンクリートは分離しやすい。単位水量が極端に少ないコンクリートもモルタルの粘着性が不足し、分離する傾向が大きくなる。
○混和材料による影響
AE剤や減水剤などの混和剤、フライアッシュを使用したコンクリートは単位水量を減らすことができるため、結果的に分離抵抗性を増大させる。
○施工による影響
使用するコンクリートが同一でも、施工方法によって分離の程度は著しく変化する。打込み時の高所からの落下、型枠や鉄筋への衝突、斜面での上方からの打込みなどは分離を生じやすい。