自然発火性物質とは(第3類危険物)
自然発火性物質とは、空気にさらされると自然発火する危険がある物質である。
禁水性物質とは(第3類危険物)
禁水性物質とは、水と接触すると可燃性ガスを発生したり発火したりする危険がある物質である。
自然発火性・禁水性物質の特徴
第3類危険物のほとんどは自然発火性と禁水性の両方の性質を持っている。例外として、黄リン(自然発火性のみ)やリチウム(禁水性のみ)などがある。
代表的な物質
- カリウム
- ナトリウム
- アルキルアルミニウム
- 黄リン
- リチウム
- 炭化カルシウム
カリウムとは
カリウムとは、ケイ酸塩として岩石の成分となって地殻中に広く分布している元素である。カリウムはイオンとして動植物の生理に重要な役割をもち、植物灰中に炭酸塩として存在する。単体では銀白色の柔らかい金属である。水と激しく反応し、水素を発生して水酸化カリウムになる。
ナトリウムとは
ナトリウムとは、地球上に広く多量に存在し、海水中のナトリウムイオンとして約1%含まれる元素である。常温で水と激しく反応して水素を発生させる。ナトリウムのイオンは生体の重要な構成分であり、体液の浸透圧の維持、筋収縮や神経の興奮伝達など動物の生理に重要な役割を果たしている。
アルキルアルミニウムとは
アルキルアルミニウムとは、アルミニウムにアルキル基が結合した有機金属化合物である。空気中で自然発火し、水と激しく反応する危険性の高い化合物である。触媒や還元剤として利用されている。
黄リンとは
黄リンとは、リンの同素体の1つである。水にはほとんど溶けないが二硫化炭素やベンゼンによく溶ける。摂氏55℃発火して五酸化二リンの白煙をあげながら激しく燃える。加圧下で加熱すると赤リンに変化する。黄リンを用いたマッチを「黄リンマッチ」というが、黄リンが有毒であり発火点が低く自然発火の危険があるため、現在は製造が禁止されている。
リチウムとは
リチウムとは、金属中で最も軽い金属である。常温でも水を分解して水素を発生する。合金への添加剤や花火の材料などに利用される。
炭化カルシウムとは
炭化カルシウムとは、カルシウムの炭化物であり、消石灰をコークスなどと電気炉中で加熱・反応させて精製する。アセチレン・石灰窒素の原料、製綱用脱硫・脱酸剤などに用いられる。
自然発火性・禁水性物質の火災対策
第3類危険物は自然発火性・禁水性物質なので、空気または水との接触を避けることが大切である。保管の際は不活性ガスの中や保護液の中に保管する必要がある。禁水性物質を消火する時は、水・泡系の消火剤が使用できないので、炭化水素塩類を主成分とする粉末消火剤を用いる。また、乾燥砂、膨張ひる石(バーミキュライト)、膨張真珠岩(パーライト)は第3類危険物全ての消火に使用できる。