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失敗から学ぶためには『失敗者の気持ちになろう!』【失敗行動の背景を把握する】

背景や脈略を細かく把握する

 失敗したくて失敗する人はいない。失敗とは、「何らかの理由があってその判断を正しいと考え行動したが、結果的に失敗してしまった」という状況である。その「何らかの理由」を考察するのが失敗学である。そして、その「何らかの理由」を明らかにするためには、失敗の背景や脈略を把握する必要がある。

 失敗の背景や脈略を記述するとは、すなわち失敗者の「言い訳」を聞くことである。「言い訳」は一般的に好ましくないこととされているが、失敗学においては貴重な情報である。「言い訳」を聞くことで、失敗者がどのようなことを考え行動した結果失敗したのかがわかる。

結果論ではなく、その時の判断根拠を書く

 失敗を考察する際は、「なぜ失敗者はその時その行動を正しいと考えたか」を考えることが大切である。ポイントは「その時」である。「その時」知り得なかった情報は、失敗行動の原因にはなり得ない。

 よくある失敗の理由として「確認不足」「不注意」「徹底不足」などがあるが、これらは結果論である。失敗者が行動する時の気持ちを考えてみるとわかる。車の運転を例に考える。

「左右を目視していないので確認不足だけど、一か八か交差点に侵入しよう!」

こんな思考で行動はしない。

「この交差点では車や歩行者が飛び出してくることはない」

「時間がないことが気になるから、カーナビの地図を見てあと何分で目的地に着くか計算しよう」

「ミラーの角度が気に入らないから、人がいない安全な道を運転している間に調整しよう」

こんなことを考えながら交差点に侵入した結果、「確認不足」で交差点に侵入して事故が起きるのである。

 失敗者が失敗する時に、何を考えどのように行動したのかを知る・推測することが失敗学では必要である。

否定語は結果論

 事故の原因の文章を見た時に、結果論か否かを簡単に判断する方法がある。その方法は、文章内に「否定語」があるかどうかである。「否定語」がある場合は結果論の可能性が高い。

 「否定語」の代表格は、「手袋をしていなかったので」や「荷物を固定していなかったので」などの「〜していなかったので」というフレーズである。これらのフレーズは結果論であり、このような反省からは有益な知識を得ることができない。せいぜい「手袋をしましょう」「荷物を固定しましょう」で終わりである。

「手袋をしていなかったから、手を切った」ではない。「素手で触っても怪我をしないと思ったから素手で触り、その結果怪我をした」のである。考察すべき点は「何故素手で触っても怪我をしないと思ったか」である。この点をしっかりと考察することで、失敗の真の原因を見つけることができる。

参考文献

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