リスクアセスメントとは
リスクアセスメントとは、「リスク(危険)」を「アセスメント(評価)」することであり、労働安全衛生法第28条の2で努力義務として定めらている事項である。
労働安全衛生法 第28条の2(事業者の行うべき調査等)
事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律に基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。
労働安全衛生法
リスクアセスメントとは、事業場にある危険性又は有害性等を特定し、リスクを見積もり、リスク低減措置を決定する一連の手順のことである。
リスクアセスメントは誰がやるべきか
リスクアセスメントを実施する役割を担うのは「総括安全衛生管理者等」「安全管理者」「衛生管理者」「職長等」であり、それぞれ役割がある。
以下、指針の内容と合わせて解説を記載する。
リスクアセスメントの実施体制
「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に、下記のように記載されている。
4 実施体制等
(1)事業者は、次に掲げる体制で調査等を実施するものとする。
ア 総括安全衛生管理者等、事業の実施を統括管理する者に調査等の実施を統括管理させること。
イ 事業場の安全管理者、衛生管理者等に調査等の管理を実施を管理させること。
ウ 安全衛生委員会等の活用等を通じ、労働者を参画させること。
エ 調査等の実施に当たっては、作業内容を詳しく把握している職長等に危険性又は有害性の特定、リスクの見積もり、リスク低減措置の検討を行わせるように務めること。
オ 機械設備等に係る調査等の実施に当たっては、当該機械設備等に専門的な知識を有する者を参画させるように務めること。
(2)事業者は(1)で定める者に対し、調査等を実施するために必要な教育を実施するものとする。
危険性又は有害性等の調査等に関する指針
職長等の職務
「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」の「4 実施体制」の「(1)のエ」について、解説を記載する。
エ 調査等の実施に当たっては、作業内容を詳しく把握している職長等に危険性又は有害性の特定、リスクの見積もり、リスク低減措置の検討を行わせるように務めること。
危険性又は有害性等の調査等に関する指針
ここで、「職長等」とは作業中の労働者を直接指導又は監督する者が該当する。また、職長等以外にも作業内容を詳しく把握している一般の労働者がいる場合にには、当該労働者を参加させることが望ましい。
職長等の職務は「危険性又は有害性の特定」「リスクの見積もり」「リスク低減措置の検討」であり、「リスク低減措置の決定及び実施」は含まれていない。
「リスク低減措置の決定及び実施」は事業者の責任において実施されるべきものである。
総括安全衛生管理者
「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」では、総括安全衛生管理者に「調査等の実施を総括管理させること」と明記されている。これは、安全衛生規則第3条の2にも明記されている。
安全衛生規則 第3条の2(総括安全衛生管理者が総括管理する業務)
2 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること
安全衛生規則
安全管理者・衛生管理者
「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」では、安全管理者と衛生管理者に「調査等の管理を実施を管理させること」と明記されている。ここで、調査等とは「調査及びその結果に基づく措置」である。
安全衛生委員会
「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」では、「安全衛生委員会等の活用等を通じ、労働者を参画させること」と明記されている。
安全委員会および衛生委員会で「危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置」について付議することは、安全衛生規則で定められている。
※「付議」とは会議にかけること
安全衛生規則 第21条 (安全委員会の付議事項)
2 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、安全に係るものに関すること。
安全衛生規則
安全衛生規則 第22条 (衛生委員会の付議事項)
2 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
安全衛生規則