現役でゼネコンで働いている私が建設業の魅力の問題点について考えます。
私は入社9年目です。
若手から中堅へという段階です。
よくある建設業の魅力は
1.「大きな物を作る」
2.「社会の役に立つ」
3.「地図に残る」
ですが、私はそれを否定します。
これらを本当に実感できるのは上の人間であり、若手ではありません。
ここにミスマッチの原因があります。
1.「大きな物を作る」の問題点
よくある解答に「大きな物を作る」「達成感を感じる」というのがあります。
しかし、この魅力を実際に感じたことはありません。
その理由を示します。
まず、工事にはストーリーがあります。
「現状このような問題がある」
↓
「工事を行う」
↓
「工事が完成して便利になる」
という流れがあります。
工事を最初から最後まで経験すると、このストーリーを体感することができます。
工事の最初は問題が多々あり、地元との調整もあります。
問題を解決し、説明を行い理解を得て、工事を進める。
これはやりがいがあると思います。
しかし、若手はこのストーリーを体感することができません。
理由は2つあります。
(1)ストーリーの主役になれない
若手が対外交渉の最前線に出ることはありません。
上司がやってきた成果を聞くだけです。
それは仕方がないことですが、若手は脇役です。
(2)最初から最後まで同じ工事に従事することがない
工事の最初は計画と交渉がメインです。
工事の中盤は計画を進めながら施工も進める最盛期です。
工事の終盤は後片付けと書類のまとめです。
若手が求められるのは工事中盤の最盛期です。
なぜなら一番人手が必要だからです。
ある若手が現場の最盛期に一生懸命仕事に取り組んだとします。
毎日が充実しており、やりがいを感じ始めていたとします。
そして
「最盛期を乗り越え、もうすぐ工事が終わる」
というタイミングで、別の最盛期の現場へ飛ばされます。
何故なら、最盛期を乗り越えた現場には、たくさんの人員は不要だからです。
次の現場へ飛ばされた若手は、そこでも同じように仕事を頑張り、最盛期を乗り越えます。
すると、また次のこれから最盛期を迎える現場へ移動させられます。
これの繰り返しです。
「やりがいを感じたい」と思い入社した人は、ここでギャップを感じます。
もちろん、会社として極力若手を最初から最後まで現場に残すことはできますが、
全員に対してそれを行うことは無理です。
2.「社会の役に立つ」の問題点
建設業は社会の役に立つ仕事です。
全員の役に立つ仕事ではありません。
道路を作るとします。
近所の人は便利になると喜びます。
道路が通るために立ち退く人の中には悲しむ人もいます。
高速道路を作るとします。
乗口ができる近所の人は便利になると喜びます。
乗口ができない、道路が通過するだけの場所に住んでいる人は悲しみます。
大きなプロジェクトになればなるほど、利害関係者が増えます。
利害関係者が増えるほど、反対派の人数も増えてしまいます。
純粋に「社会の役に立ちたい」と思っている人ほど、反対派の多さに驚きます。
反対されながら行う仕事はつらいです。
やりがいのかけらもありません。
3.「地図に残る」の問題点
地図に残るのはとてもやりがいがあります。
しかし、土木は地図に残らない仕事が多いです。
「電線を地中に埋める地下トンネル工事」
「洪水を防ぐ地下貯留管工事」
私は今まで1つも残っていません。
特にこれからは、既設構造物の改修工事が増えます。
今、地図に残っている構造物を維持するための仕事です。
とても大切な仕事ですが、地味な仕事です。
「地図に残る」とは少し違います。
4.まとめ
従来言われている建設業の魅力を鵜呑みにしてしまう人ほど、入社後にギャップを感じます。
「こんなはずではなかった」と感じて、退職に繋がってしまうのではないでしょうか。
建設業にはもっと違う魅力があります。
次回、「私が考える建設業の魅力」について記述します。