リスクアセスメントの対象【平坦な通路の歩行などは対象外】

リスクアセスメントとは

 リスクアセスメントとは、「リスク(危険)」を「アセスメント(評価)」することであり、労働安全衛生法第28条の2で努力義務として定めらている事項である。

労働安全衛生法 第28条の2(事業者の行うべき調査等)

 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律に基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。

労働安全衛生法

 リスクアセスメントとは、事業場にある危険性又は有害性等を特定し、リスクを見積もり、リスク低減措置を決定する一連の手順のことである。

リスクアセスメントの対象

 「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に、下記のように記載されている。

6 対象の選定

 事業者は、次により調査等の実施対象を選定するものとする。

(1)過去に労働災害が発生した作業、危険な事象が発生した作業等、作業者の就業に係る危険性又は有害性による負傷又は疾病の発生が合理的に予見可能であるものは、調査等の対象とすること。

(2)(1)のうち、平坦な通路における歩行等、明らかに軽微な負傷又は疾病しかもたらさないと予想されるものについては、調査等の対象から除外して差し支えないこと。

危険性又は有害性等の調査等に関する指針

 危険性又は有害性の特定の対象となる作業は、理論的には膨大な量になる可能性があるため、特定を効果的に実施するため、対象は労働災害の発生が合理的に予見可能であるものに限定する意図である。

危険な事象が発生した作業等の「等」とは

 「危険な事象が発生した作業等」の「等」とは、労働災害を伴わなかった危険な事象のあった作業、労働者が日常不安を感じている作業、過去に事故のあった設備等を使用する作業、又は操作が複雑な機械設備等の操作が含まれる。

危険性又は有害性とは

 「危険性又は有害性」とは、以下のとおりである。

危険性又は有害性

 建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性

危険性又は有害性等の調査等に関する指針

合理的に予見可能とは

 「合理的に予見可能」とは、負傷又は疾病を予見するために十分な検討を行えば、現時点の知見で予見し得ることである。

軽微な負傷又は疾病とは

 「軽微な負傷又は疾病」とは、医師による治療を要しない程度の負傷又は疾病のことである。