リスクアセスメントの法的根拠【安全衛生法第28条の2 事業者の行うべき調査等】

リスクアセスメントとは

 リスクアセスメントとは、「リスク(危険)」を「アセスメント(評価)」することである。

 厚生労働省によると以下のように説明されている。

リスクアセスメントとは(抜粋)

 リスクアセスメントとは、事業場にある危険性や有害性の特定、リスクの見積もり、リスク低減措置の決定の一連の手順をいい、事業者は、その結果に基づいて適切な労働災害防止対策を講じる必要がある。

リスクアセスメントの法的根拠

 リスクアセスメントは「危険性又は有害性等の調査」という言葉で安全衛生法に規定されている。

 安全衛生法第28条の2がリスクアセスメントについての条文である。第1項は、事業者に対してリスクアセスメントを実施するよう求めた条文である。

安全衛生法 第28条の2第1項(事業者の行うべき調査等)

 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。

 第2項は、厚生労働大臣に対して必要な指針を公表を求めた条文である。この条文を受け公表された指針が「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」である。

安全衛生法 第28条の2第2項

厚生労働大臣は、前項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

 安全衛生法第28条を受け、安全衛生規則ではリスクアセスメントの実施時期について明記されている。

安全衛生規則 第24条の11(危険性又は有害性等の調査)

 安全衛生法第28条の2第1項の危険性又は有害性等の調査は、次に掲げる時期に行うものとする。

1 建設物を設置し、移転し、変更し、又は解体するとき。

2 設備、原材料等を新規に採用し、又は変更するとき。

3 作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき。

4 前三号に掲げるもののほか、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等について変化が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。