機械の動作部分に接近しないための本質的安全設計方策
「機械の包括的な安全基準に関する指針」では、機械の安全化を図るために機械の設計者等が考慮する事項を記載している。
機械の設計者等は機械の安全化を図るために、「本質的安全設計方策」を検討する必要がある。
「機械の本質的安全基準に関する指針」の「別表第2 本質的安全設計方策」内に、以下のように記載がある。
機械の運動部分が動作する領域に進入せず又は危険性又は有害性に接近せずに、当該領域の外又は危険性又は有害性から離れた位置で作業が行えるようにすること。例えば、機械への加工物搬入(供給)・搬出(取り出し)又は加工等の作業を自動化又は機械化すること。
機械の包括的な安全基準に関する指針 別表第2本質的安全設計方策
この項目は、労働者が機械の運動部に接近することなく離れた位置で作業が行えるようにすることを求めたものである。
機械の運動部への接近を防ぐための具体的な要求事項
機械の運動部への接近を防ぐための具体的な方法として、「『機械の包括的な安全基準に関する指針』の解説等について」内に、上記指針の解説が記載されている。
加工物の自動供給装置、部品の自動取り出し装置、送りスライド、ジグ等を用いて、機械の使用中に危険性又は有害性に接近する必要をなくすこと又は頻度を低減することを求めたものであること。その実施に当たっては、以下の点に留意することが必要であること。
ア 加工物の搬入・搬出作業等の自動化のための装置を付加する場合には、装置の動作の不具合を修正する場合等を含む全ての作業に対して調査等を実施し、当該装置と機械部分又は加工物との間でのはさまれ等の危険性又は有害性が新たに生じないようにする必要があること。
イ 機械を労働者に使用させる事業者が、加工物の搬入・搬出作業等の自動化のために、産業用ロボットやハンドリング装置等を機械に組み合わせてシステム化を行う場合、当該事業者は、機械の製造等を行う者が行う本質的安全設計方策の実施等の措置に準じた措置を行う必要があること。
「機械の包括的な安全基準に関する指針」の解説等について
「ア」の要求事項は、機械の稼働部へ労働者が接近することを防止するために作業を自動化する装置を付加する場合の留意事項である。新たに装置を設置する場合、その装置の通常の使用時だけではなく、当該装置の不具合を修正する場合などイレギュラーな作業についてもリスクアセスメントを実施し、新たなリスクが生じないようにする必要があることを述べている。
「イ」の要求事項は、機械の自動化のために産業用ロボットなどの装置を追加で組み合わせてシステム化を行う場合、当初の機械の「機械の設計者等」が実施したリスクアセスメントの内容と同等のことを、追加で産業用ロボット等の装置を設置する「機械の使用者」も実施することを求めたものである。