はさまれを防止するための機械の本質的安全設計方策【安全距離と最小すきま】

はさまれを防止するための機械の本質的安全設計方策

「機械の包括的な安全基準に関する指針」では、機械の安全化を図るために機械の設計者等が考慮する事項を記載している。

機械の設計者等は機械の安全化を図るために、「本質的安全設計方策」を検討する必要がある。

「機械の本質的安全基準に関する指針」の「別表第2 本質的安全設計方策」内に、以下のように記載がある。

労働者の身体の一部がはさまれることを防止するため、機械の形状、寸法等及び機械の駆動力等を次に定めるところによるものとすること。

(1)はさまれるおそれのある部分については、身体の一部が侵入できない程度に狭くするか、又ははさまれることがない程度に広くすること。

(2)はさまれたときに、身体に被害が生じない程度に駆動力を小さくすること。

(3)激突されたときに、身体に被害が生じない程度に運動エネルギーを小さくすること。

機械の包括的な安全基準に関する指針 別表第2本質的安全設計方策

これらは、機械によるはさまれを防ぐための事項である。

はさまれを防ぐための具体的な要求事項

はさまれを防ぐためのより具体的な方法として、「『機械の包括的な安全基準に関する指針』の解説等について」内に、上記指針の解説が記載されている。

 機械的な危険性又は有害性に配慮して、機械の形状、寸法、駆動力等の設計を行うことを求めたものであること。

 本項(1)の安全距離の例として、JIS B9707、JIS B9708、JIS B9711が示されている。

「機械の包括的な安全基準に関する指針」の解説等について

JIS B9718 機械類の安全性-危険区域に上肢及び下肢が到達することを防止するための安全距離

 現在は「JIS B9707」と「JIS B9708」が統合され、「JIS B9718 機械類の安全性-危険区域に上肢及び下肢が到達することを防止するための安全距離」が制定されている。

 この規格は、上肢及び下肢が機械類の危険区域に到達することを防止するために、保護構造物と危険区域との間に設ける適切な安全距離「S」の値を定めている。ここで、保護構造物とはガード類などの人体の動きを制限する安全防護物や物理的障害である。

 規格内には様々なパターンの安全距離「s」について、明記されている。「上肢 or 下肢」「危険区域が上方 or 開口部 」「危険区域のリスクが低い or 高い」などについて記載されている。

JIS B9711 機械類の安全性-人体部位が押しつぶされることを回避するための最小すきま

 この規格は、人体部位に関連する最小すきまを制定し適切な安全性を達成することで、押しつぶしの危険源を回避することが目的である。

 規格内で、「頭」「脚」「足」「つま先」「腕」「手・手首・拳」「指」が押しつぶされることを回避するための最小すきまの数値が記載されている。