一般事項
生殖毒性とは、雌雄の成体の生殖機能及び受精能力に対し悪影響を及ぼす性質及び子の発生に対し悪影響を及ぼす性質である。生殖毒性には、雌雄の成体の生殖機能及び受精能力に対する悪影響に加えて,子の発生毒性も含まれる。
生殖毒性の区分
区分1
ヒトに対して生殖毒性があることが知られている化学物質,又はあるとみなせる化学物質である。
この区分には,ヒトの性機能及び生殖能,又は発生に悪影響を及ぼすことが知られている化学物質,又はできれば他の補足情報もあることが望ましいが,動物試験によってその化学物質がヒトの生殖を阻害する可能性があることを強く推定できる化学物質が含まれる。分類のための証拠が,主としてヒトのデータによるものか(区分1A),又は動物データによるものなのか(区分1B)によって更に分類する。
区分1A
ヒトに対して生殖毒性があることが知られている化学物質である。
この区分への化学物質の分類は,主にヒトにおける証拠を基にして行う。
区分1B
ヒトに対して生殖毒性があるとみなせる化学物質である。
この区分への化学物質の分類は,主に実験動物による証拠を基にして行う。動物実験から得られたデータが,他の毒性作用のない状況で性機能及び生殖能若しくは発生に対する悪影響の明確な証拠があるか,又は他の毒性作用も同時に生じている場合は,その生殖に対する悪影響が,他の毒性作用が原因となった二次的な非特異的影響ではないものとみなす。ただし,ヒトに対する影響の妥当性について疑いが生じるようなメカニズムに関する情報がある場合は,区分2への分類がより適切である。
区分2
ヒトに対する生殖毒性が疑われる化学物質である。
この区分に分類するのは,次の(a)(b)いずれかの化学物質であって,区分1とするには証拠に十分な説得力がない化学物質である。
(a)他の補足情報もあることが望ましいが,ヒト又は実験動物から,他の毒性作用のない状況で性機能及び生殖能,又は発生に対する悪影響についてある程度の証拠が得られている化学物質。
(b)他の毒性作用も同時に生じている場合は,他の毒性作用が原因となった二次的な非特異的影響ではないとみなされる物質。