短繊維補強コンクリート【ひび割れ間で架橋】

○短繊維補強コンクリートとは
 不連続の短い繊維をコンクリート中に均一に分散させたコンクリートである。短繊維を分散させることにより、ひび割れに対する抵抗性、曲げ強度、せん断強度ならびに耐衝撃性などを大幅に改善することができる。主な用途はトンネルや高架橋などでのコンクリート片の剥落防止、高層ビルなどの高強度コンクリートでの火災による爆裂防止である。

○短繊維の種類
 鋼繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリプロビレン繊維などがある
種類
繊維直径
(mm)
繊維長
(mm)
引張強度
(N/mm²)
弾性係数
(kN/mm²)
鋼繊維
0.1〜0.9
20〜60
600〜2500
200程度
ポリビニルアルコール繊維
0.01〜0.7
4〜60
800〜2000
40程度
ポリプロピレン繊維
0.01〜0.8
4〜60
100〜500
10程度
○力学的性質
 短繊維はコンクリートにひび割れが発生した後にひび割れ間に架橋して応力を伝達するため、コンクリートのひび割れ抵抗性が改善される。引張強度、曲げ強度および靱性は繊維混入率に比例して増大するが、繊維混入率が2%を超えるとコンクリートの練り混ぜに支障をきたしコンクリート中への一様な分散が困難になる。

 AEコンクリートの場合、繊維を1%程度混入すると凍結融解に対する抵抗性が改善される。 


○配合
 フレッシュコンクリートに短繊維を混入すると、混入率の増加に伴ってスランプが小さくなる。このため、所要のスランプを得るためには細骨材率と単位水量を普通コンクリートに比べて大きくする必要がある。一般に鋼繊維補強コンクリートの所要単位水量の増加量は、鋼繊維の容積混入率1%あたり約20kg/m³程度である。

○製造方法
【プレミックス法】
 フレッシュコンクリートと短繊維をミキサやアジテーターで混練りする方法
【吹付成形法】
 通常の吹き付けコンクリートと共に繊維を他の材料と一緒に吹き付ける方法