吹付コンクリート【湿式と乾式】

○吹付コンクリートとは
 圧縮空気によって打込み箇所に吹き付けて施工するコンクリートで、型枠を使用することなく広い面積に比較的薄いコンクリート層を施工する方法である。施工方法は「湿式」と「乾式」がある。

○湿式吹付コンクリート
 湿式はあらかじめ練り混ぜたフレッシュコンクリートを吹き付け機に投入し、圧縮空気またはポンプで搬送してノズルから吹き付ける方式である。
【乾式と比較した長所】
・粉じんや跳ね返りが少ない
・吹き付けられたコンクリートの品質が安定している
【乾式と比較した短所】
・吹付機械からノズルまでの圧送可能な距離が短い
・機械設備の規模が大きい

・予め練り混ぜるため、練り混ぜから吹付までの時間制約がある

○乾式吹付コンクリート

 乾式は水を含まないドライミックスのコンクリート材料を吹き付け機に投入して圧縮空気によってノズルまで搬送し、ノズル近傍で水を加えて吹き付ける方式である。吹き付け機からノズルまでの圧送距離を長く取れること、コンクリートを練り混ぜてから吹き付けるまでの時間がながくとれるなどの長所がある。

○骨材
・一般に粒子が粗いとリバウンドが多くなる
・粒子が細かいとホース内の管内抵抗が大きくなり閉塞しやすくなる
・通常は10−15mm程度の粗骨材を使用する
・吹付コンクリートは急結剤を使用するためアルカリが供給される

 ⇒アルカリシリカ反応に対して無害な骨材を使用することを標準とする

○混和材
・シリカフュームを混入すると圧送性の改善、はね返りの低減、高強度化などの効果がある

・フライアッシュや高炉スラグ微粉末についても分離抵抗性およち圧送性の向上等の効果がある

○トンネルの一次覆工の施工
・落下の恐れがある浮き石などは入念に取り除く
・湧水は導水する
・吹付コンクリートで表面を覆うと厚さがわからなくなるため、検測ピンをあらかじめ配置する

・ノズルから噴射される材料が直角に当たると最も圧密され付着性が良い

○掘削のり面の施工
・ノズルマンの作業性から、ホース径は38〜50mm程度
・施工能力は3m³/h程度
・圧送距離はセメント量に大きく影響を受ける
 ⇒水平距離60〜120m、鉛直では水平の1/3〜1/2程度