失敗学とKY活動の類似点【どちらも「行動」がポイント】

失敗学とKY活動の手順

失敗学の手順

失敗学は、以下の3つのステップを実践する。

  1. 失敗を主観的視点で認知する
  2. 主観的事実を一般化して教訓を得る
  3. 教訓を個々に当てはめ、失敗の未然防止を行う

KY活動の手順

 KY活動は、以下の4つのステップで実践する。

  1. どんな危険が潜んでいるか(現状把握)
  2. これが危険のポイントだ(本質追求)
  3. あなたならどうする(対策樹立)
  4. 私たちはこうする(目標設定)

失敗学とKY活動の共通点

1.最初に「行動」の危険のポイントを把握する

 失敗学では最初に、失敗者の主観的視点になり失敗行動を認知する。失敗した人がなぜそのような行動を「正しい」と考えたのか、理由・背景を明らかにする。「作業のマニュアルがなかったから失敗した」のではなく、「作業者が薬品を素手で取り扱っても無害であると認識していたため、素手で薬品を取り扱った結果、薬焼した」と考える。結果論ではなく失敗行動の瞬間の失敗者の立場になりきることが大切なポイントである。

 KY活動では、自分が作業者になりきり、当該作業を行う場合の危険のポイントを考える。「〜しようとして〜したので、〜が〜して〜なる。」のような危険のポイントを推測する。「不安全状態」と「不安全行動」を考え、被災する状況をしっかりと想像することが大切である。「脚立から落下する」ではなく、「脚立を使って壁のペンキを塗っている時に、脚立を動かすのが面倒臭かったため、脚立の上で横に手を伸ばして遠くの壁にペンキを塗ろうと身を乗り出した時に、三脚の足元がぬかるんでおり脚立が傾き、脚立の上から転落する」のように、状況を細かくリアルに考えることが大切なポイントである。

2.どちらも事故の未然防止を目的

 失敗学では、失敗から教訓を導き出し、自分にその教訓を当てはめて事故の未然防止を行う。失敗事例から得た教訓を、自分の環境に当てはめるとどのような点に気をつけるべきかを考えることが大切である。自分の環境に置き換えることによって、他人の失敗から学び、事故を未然に防ぐことができる。

 KY活動では、3Rで対策を樹立し、4Rで行動目標を設定する。そして、その4Rで決めた行動目標を実践することで、事故の未然防止を行う。1Rで危険のポイントを抽出し、その危険のポイントに対する「今すぐ実行可能な具体的対策」を考え、チームの行動目標を定める。危険のポイントに対して、自らが対策を考え、チームみんなで行動目標を決める。そうすることで、人から言われたのではなく自分自身で安全ルールを作ったことになる。「自分たちで決めたルールだからしっかり守ろう」という動機付けを行うことで、ルールを守ろうという意思が生まれ、その行動目標を実践することで事故を未然に防ぐことができる。