はんだ付け作業と作業主任者
はんだ付け作業に使用する「はんだ」には「鉛」が含まれていることがある。
自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの業務は「鉛業務」である。
「鉛業務」を行う場合は、一般的に「鉛作業主任者」が必要である。
しかし、「はんだ付け作業」については「鉛作業主任者」が必要な「鉛作業」に含まれていないため、「鉛作業主任者」は不要である。
以下、法的根拠について記載する。
作業主任者の法的根拠
労働安全衛生法
鉛業務に関わらず、作業主任者を必要とする法的根拠の大元は安全衛生法第14条(作業主任者)である。
この条文で作業主任者が必要である旨を明記し、詳細は政令で定めるとしている。
第14条(作業主任者)
事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては…(中略)…当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
労働安全衛生法施行令
労働安全衛生法施行令第6条では、具体的に作業主任者が必要な作業について明記されている。
その中の「19」の項目に鉛業務について明記されている。
別表第4の業務は全て「鉛業務」だが、「作業主任者」が必要な業務は、別表第4のうち第1〜10号までの業務であると明記している。
第6条(作業主任者を選任すべき作業)
安全衛生法第14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。
…(中略)…
19 別表第4 第1号から第10号までに掲げる鉛業務
…(以下略)…
別表第4を見ると様々な「鉛業務」が明記されているが、「自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの業務」が「13」の項に明記されている。
ちなみに、別表第4で「はんだ」という言葉が使用されているのは「13」の項のみである。
別表第4
鉛業務(安全衛生法施行令 第6条 21条 22条関係)
…(中略)…
13 自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの業務(臨時に行う業務を除く)
…(以下略)…
鉛中毒予防規則
鉛中毒予防規則の第33条に鉛作業主任者の選任について明記されている。
条文中に記載があるとおり、安全衛生法施行令6条第19号の作業について作業主任者が必要であり、「自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの業務」は含まれていないため、はんだ付け作業は作業主任者が不要である。
第33条(鉛作業主任者の選任)
事業者は、安全衛生法施行令6条第19号の作業については、鉛作業主任者技能講習を修了した者のうちから鉛作業主任者を選任しなければならない。