ヒ素とは【重金属ではない】

○ヒ素とは
 ヒ素とは原子番号33の元素であり、元素記号はAsである。土壌吸着性は低いが、水溶解性は高い。

○重金属ではないヒ素
 ヒ素は厳密な定義では重金属ではなく、メタロイドという半金属的な性質を持つ。半金属とは金属と非金属の中間の性質、もしくは両方の性質を併せ持つ元素である。

○ヒ素の同素体
 ヒ素の同素体は3種類存在する。灰色ヒ素、黄色ヒ素、黒色ヒ素である。灰色ヒ素はもっとも安定した状態であり、金属光沢をもつため、金属ヒ素と呼ばれる。黄色ヒ素は独特のニンニク臭を持ち、透明で柔らかい。黒色ヒ素は同族の黒リンと同じ構造を持つ。

○無味無臭のヒ素
 ヒ素は無味無臭という特徴から、暗殺用の毒として使われた。

○ヒ素の毒性
 ヒ素の毒性は無機態と有機体で異なり、一般的に無機態のほうが毒性が高い。ヒ素を飲み込んだ場合は吐き気や嘔吐などの症状を引き起こし、場合によっては死に至る。その他、皮膚の角化、黒皮症、発がん性を有することがわかっている。

○必須元素としてのヒ素
 ヒ素は人体内にごく微量存在しており、生存に必要な必須元素である。海藻などの海産植物はヒ素濃度が高く、海産物を多く摂取する日本人の体内ヒ素レベルは高い。