○自然界の中でのカドミウム
天然のカドミウムは岩石の風化や火山活動によって生物圏に放出される。しかし、その量は微量である。近年の人間の活動により、自然界へ放出されるカドミウムが増加している。
○重金属と生物の一般則
もともと天然に豊富に存在している物質は、生物が必須元素として体内に取り込み、無害化するシステムが存在する。しかし、もともと極微量しか存在していなかった物質を体内に一定量以上取り込むと、重度の障害を引き起こしやすい。
○カドミウムによる汚染の現況
野生生物の重金属蓄積現象を調査すると、多数の生態系でカドミウムの環境汚染が明らかとなっている。カドミウムは生物の成長に伴って濃度が上昇する特徴があり、さらに食物連鎖により餌生物の濃度を反映する。カドミウムは生物濃縮により、汚染を拡大している。
○カドミウムの毒性
カドミウムは動物の体内に取り込まれると、腎臓に極端な高濃度で蓄積する。そのため、肝臓で障害が現れる。カドミウムを誤飲することによる急性毒性は、消化器への障害や呼吸器への疾病が発生する。カドミウムによる慢性毒性は、肝臓障害補の他に生殖障害、内分泌錯乱作用、高血圧、動脈硬化、循環器障害、発がん性、骨粗しょう症などがある。
4大公害の1つであるイタイイタイ病は、カドミウムによる骨粗しょう症である。