鉛の毒性【小児については閾値なし】

○鉛の毒性
 鉛の毒性による症状は腹部の疝痛(せんつう)、運動神経の麻痺、貧血、肝臓障害、中枢神経障害などがある。毒性が現れる量については、小児については閾値なしとされている。閾値なしとは、極微量でも存在するだけで毒性影響があるという意味であり、毒における最大級の警戒クラスである。
 
○ローマ時代の鉛中毒
 ローマ時代には鉛は水を通さない特徴から上下水道のパイプや食器、壺に利用された。また、鉛を口にすると甘いため、甘味料としても利用された。鉛を利用した甘味料は「サパ」と呼ばれた。
 このような背景からローマでは鉛を大量に利用しており、鉛中毒が多発していたと考えられる。特に当時の支配階級である貴族は異常に流産や死産や不妊が多く、鉛中毒のせいだとする説がある。実際、ローマ人の遺骨からは高濃度の鉛が検出されている。