1級土木実地試験過去問考察(平成22年土工)

 1級土木実地試験の過去問を考察する。実地試験は正答が公開されていないため参考書によって解答が異なるが、手元にある2冊の参考書は平成22年の土工の問題に関しては解答が同じである。
設問1
橋台、カルバートなどの構造物と盛土との接続部分では、不同沈下におる段差が生じやすく、平坦性が損なわれることがある。
その接続部の段差をなくすための対策に関する次の文章の(   )に当てはまる適切な語句を解答欄に記入しなさい。
(1)橋台やカルバートなどの裏込め材料としては、締め固めが容易で圧縮性の(  イ  )材料を用い、透水性がよく、かつ、水の浸入によっても強度の低下が少ないような粒度分布のよい材料を用いる。
( イ )の解答
参考書A:小さい
参考書B:小さい

【考察】
圧縮性は「大きい」「小さい」で表す。
(2)盛土と橋台との取り付け部に設置する(  ロ  )は、その境界に生じる段差の影響を緩和するものである。
( ロ )の解答
参考書A:踏掛板
参考書B:踏掛板
【考察】
踏掛版(ふみかけばん)とは鉄筋コンクリート製の床版で橋台と盛土の境界に設置する。
参考書の解答はどちらも踏掛「板」となっているが踏掛「版」でも良い。
(3)河川構造物の樋門などの取付け部の裏込め材料は(  ハ  )効果がある程度期待でき、締め固めが容易で、かつ、水の浸入によっても強度の低下が少ないような安定した材料を用いる。
( ハ )の解答
参考書A:遮水
参考書B:遮水
【考察】
樋門(ひもん)とは大辞林によると「堤防の下を通り抜ける,排水・灌漑用の水路」であり、堤防の下を通る小型の水門と言える。
ちなみに、水門は大辞林によると「貯水池・運河・水路などで,水量・水位の調節のために設けた扉を備えた門のような構造物」である。
(4)裏込め部の施工は1層の厚さの(  ニ  )を避け、小型ブルドーザ、人力などにより平坦に敷均しをする。
( ニ )の解答
参考書A:高まき
参考書B:高まき
【考察】
高まきは締め固め不足になるので避け、水平に薄層で均一な敷き均しを行う。
土質や盛土の種類に応じた敷き均し厚さとする。
道路路体では締め固め後の仕上がり厚さは30㎝以下とし、路床では締め固め後の仕上がり厚さは20㎝以下とするのが一般的である。
(5)構造物が十分強度を発揮した後に裏込め材料で盛土をする場合でも、構造物に(  ホ  )を加えないよう両側から均等に施工する。
( ホ )の解答
参考書A:偏土圧
参考書B:偏土圧
【考察】
問題文の通りである。
偏土圧は偏った土圧のことである。偏土圧を与えると構造物が変形や破壊する恐れがあるため避ける。