工事現場の現場監督とは【入社7年目の答え】

 現場監督って何?とよく聞かれる。「スコップ持って掘るの?」や「工事現場で偉そうにしている人?」など。その度に自分なりに答えるが、難しい。改めて考えてみようと思う。
 まず、現場監督の仕事は何か?答えは「作業以外をやる人」である。具体的には「計画」「段取り」「指示」「確認」を行う。

 「計画」とは、どのようなやり方でどのような順番で誰がやるかを大まかに決めることである。計画を行う上で大切なことは大きなミスを犯さないことである。計画段階は主に書類や図面の作成が現場監督の主な仕事になり、文字通り「机上の空論」になりがちである。出来もしないことをやろうと考えたり、大きな問題があってもまだ先だからどうにかなると変に楽観的になったりする。計画段階でのミスは取り返しがつかないので、慎重に広い視野を持って見落としがないように計画を行う。
 「段取り」とは計画を遂行するために必要な手続きを行い、資材等を準備することである。段取りを行う上で重要なことは、計画にこだわり過ぎずに柔軟に対応できるようにすることである。工事は自然を相手に行うため、全てを完全に把握することは不可能である。そのため、必ず予定外のトラブルが発生する。その時に迅速に対応できるよう、あらゆる可能性を想定し準備をしておく。100点を目指すのではなく、何が起きても80点を取れるよう段取りをするのが理想である。
 「指示」とは実際に作業を行うにあたって、作業の目的・方法を指示することである。日々の作業の進捗は指示の良しあしで決まる。事前に作業の内容を打ち合わせを行い必要な資材をそろえたうえで「予定通りお願いします」となるのが良い指示であり、作業を行っている横に張り付いて手取り足取りずっと指示をするのはいい指示ではない。作業目的をしっかりと説明し、作業方法をよく相談し、決定した内容を確実に周知することが現場監督の仕事である。
 「確認」とは作業を行った結果の仕上がりを確認することである。確認は必ず自分の目で見て、手で触って、自分で測定する。確認を行うことで初めて、適切な次の段取りや指示を行うことができる。
 現場監督はスポーツの監督みたいな感じかと聞かれることもあるが、答えは「似ている点もあるが大きく異なる点がある」である。似ている点は選手(作業員)と共に協力して勝利(目的物の完成)を目指す点である。監督の指示のもと、時には選手の意見を聞きながら力を合わせて工事を進める。異なる点は監督と選手が別のチーム(会社)に所属している点である。たとえ違う会社であったとしても、協力して工事を順調に進めてお互いに利益を上げるのが理想である。しかし、監督が元請けとなり選手は下請けの関係となり、お金の流れは元請けから下請けとなる。元請けは下請けに安く仕事をしてもらうと元請けの手元にお金が残り儲ける。下請けは元請けからたくさんお金を引っ張れば儲ける。なので、元請けと下請けは利害関係があり「チーム」というよりは「パートナー」という表現の方が適切である。私が現場監督として最終的に目指している姿は、利害関係を超えて「監督がそう言うなら俺も頑張ろう」と思ってもらえるような現場監督である。