アルミン酸三カルシウム【=アルミネート相】

○アルミン酸三カルシウム[3CaO・Al₂O₃]
 各種セメントとの10%弱を占める成分である。特徴は、激しい反応である。略号は[C₃A]であり、アルミネート相とも呼ばれる。
 水和反応速度は非常に早く水と接触すると直ちに固まるため、1日以内の早期強度に寄与する。水和熱は大きく、収縮量も大きい。化学抵抗性は小さい。

○エトリンガイトの生成
 アルミン酸三カルシウム[C₃A]の水和物は硬化後に浸透した硫酸塩と反応し、エトリンガイトを生じて体積膨張を起こす。そのため、化学抵抗性を求められるセメントでは上限量が設定されている。

 

○中庸熱セメント
 中庸熱セメントでは、アルミン酸三カルシウム[C₃A]の使用量は8%以下と規定されている。これは、アルミン酸三カルシウムは発熱量が多いため、上限を設定して水和熱を抑制している。

 

○低熱セメント
 低熱セメントでは、アルミン酸三カルシウム[C₃A]の使用量は6%以下と規定されている。これは、アルミン酸三カルシウムの発熱量が多いためである。中庸熱セメントよりも上限を低く設定し、さらに水和熱を抑制している。

 

○耐硫酸塩セメント
 耐硫酸塩セメントでは、アルミン酸三カルシウム[C₃A]の使用量は4%以下と規定されている。これは、アルミン酸三カルシウムが化学抵抗性が小さいため、多量に含まれていると弱点となるためである。