硫酸塩【硫酸イオンの総称】

○硫酸塩とは
 硫酸塩とは、硫酸イオン[SO₄²⁻]を含む無機化合物の総称である。

○エトリンガイトの生成
 硫酸塩が、セメント中の水酸化カルシウム[Ca(OH)₂]と反応して二水せっこう[CaSO₄・2H₂O]を生成し、さらにアルミン酸三カルシウム[3CaO・Al₂O₃](C₃A)と反応し、エトリンガイトを生成して著しい膨張を引き起こす。

 

○下水道施設における微生物腐食
 下水中に含まれる硫酸塩が嫌気性細菌である硫酸塩還元細菌により還元され、硫化水素[H₂S]が生成される。この硫化水素[H₂S]が流水の乱れで気相中に放射されると、好気性細菌である硫黄酸化細菌によって酸化され、硫酸[H₂SO₄]が生成され、コンクリートが侵食される。

 

○エフロレッセンス
 エフロレッセンスはセメント硬化体中の可溶性成分(カルシウムイオン、アルカリ金属イオン、硫酸イオン)を溶解した水が表面に滲み出し、水の蒸発に伴って溶存成分が表面に析出したものである。

 

○耐硫酸塩ポルトランドセメント
 アルミン酸三カルシウム[C₃A][3CaO・Al₂O₃]を少なくして、硫酸塩との反応性を小さくしたセメントである。硫酸塩を含む土壌地帯での工事に適し、耐海水性にも優れている。
 アルミン酸三カルシウムは硫酸塩と反応しエトリンガイトを生成し体積膨張を起こす。

 

○硫酸イオンの浸透深さの測定
 過マンガン酸カリウムと塩化バリウムの混合液、ニトロアゾ化合物のエタノール溶液、トリフェニルメタン化合物水溶液で測定することができる。