骨材中の不純物【天然骨材の敵】

○概要
 骨材中に不純物が一定量以上あると、コンクリートに悪影響を与える。コンクリートに与える影響は不純物の種類によって異なる。また、骨材の種類によって含まれやすい不純物が決まっている。


 

○有機不純物
 有機不純物は天然骨材に含まれる不純物である。フミン酸やタンニン酸などの量が多いと、コンクリート中の水酸化カルシウムと結合してコンクリートの凝結や硬化を妨げ強度や耐久性を低下させる。JIS A 1105に細骨材の有機不純物試験方法が規定されている。有機不純物を水酸化ナトリウム3%溶液で抽出し、標準色液の色と比べて合否判定を行う。
 ※フミン酸:動植物の遺体が土壌中の微生物によって分解されて生成される有機化合物
 ※タンニン酸:植物の葉などに含まれるポリフェノール

 

○粘土塊
 粘土塊は天然骨材に含まれる不純物である。粘土塊はコンクリート中に弱点をつくり、強度や耐久性を低下させる。JIS A 1137に骨材中に含まれる粘土塊量の試験方法が規定されている。

 

○微粒分
 天然骨材に含まれる微粒分は「泥分」であり、人工骨材に含まれる微粒分は「石粉」である。「泥分」と「石粉」ではコンクリートに与える影響が異なる。泥分はがコンクリートに与える影響は、単位水量の増加、ブリーディング量の減少、凝結速度の変化、レイタンスの増加などである。石粉の場合は、適量であればコンクリートの強度増進やワーカビリティーの改善に効果がある。石粉が過量の場合は泥分と同様の悪影響が生じる。
 【参考】微粒分量とは?

 

○石炭・亜炭
 天然骨材に含まれる不純物である。これらに含まれる硫黄分が酸化することにより、コンクリートの強度が減少、耐摩耗性の低下、表面部の損傷などが生じる。
 ※亜炭:石炭のうち炭化度が低いもの

 

○貝殻
 海砂に含まれる不純物である。細かい貝殻片は質量比で30%以下なら強度に影響は少ないと言われているが、それを超えるとコンクリートの強度に影響を与える。

 

○塩化物
 海砂に含まれることが多い。塩化物の許容量は細骨材の絶乾質量に対する塩化ナトリウムまたは塩化物イオンの割合で示され、骨材の0.04%以下と規定されている。また、プレテンション方式のプレストレスコンクリート部品の場合は0.02%以下である。
 【参考】絶乾密度とは?