高炉スラグ微粉末の特徴【潜在水硬性】

○潜在水硬性
 高炉スラグ微粉末の反応は、スラグ内の二酸化ケイ素(SiO₂)や酸化アルミニウム(Al₂O₃)の鎖状結合がpH12以上で切断され、固溶されていた酸化カルシウム(CaO)、酸化アルミニウム(Al₂O₃)、酸化マグネシウム(MgO)などが溶出し、カルシウムシリケート水和物(C-S-H ゲル)およびカルシウムアルミネート水和物(C-A-H ゲル)を生成して硬化する。これを潜在水硬性という。

○置換率
 高炉スラグ微粉末はコンクリートのセメントと置換して使用する。置換率は30~70%の範囲が一般的で、5〜30%をA種、30〜60%をB種、60〜70%をC種と規定されている。最近では環境対策・低発熱の目的として90%以上を置換する研究が行われている。

 

○比表面積
 比表面積が大きいと反応が良くなり、初期強度及び長期強度が大きくなる。現在の比表面積は3000~10000cm²/g程度であり、比表面積によって4種類の規格に分かれている。

 

○水和熱が小さくなる(条件あり)
 20℃以下で養生した場合は、高炉スラグ微粉末の粉末度を小さくして置換率が高いときには普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートに比べて水和熱が小さくなる。しかし、養生温度が高くなると活性が増し水和熱が普通ポルトランドセメントより大きくなる場合がある。

 

○長期強度は増大する
 十分に湿潤養生することにより、ペースト細孔容積が減少し、密実なコンクリートとなり長期強度が増大する。また、乾燥収縮が低減する。

 

○化学的抵抗性は増大する
 硫酸塩や海水に対する耐久性が改善される。また、アルカリシリカ反応に対する抑制効果も大きい。

 

○中性化は早くなる
 水結合材比が同じ場合、中性化速度は一般のコンクリートよりも早くなる。
 ※水結合比=水と(セメント+高炉スラグ)の比

 

○自己収縮が大きくなる
 高炉スラグの比表面積が大きい場合は、自己収縮が大きくなる。