高炉スラグ微粉末の種類【比表面積による影響】

○高炉スラグ微粉末とは
 製鉄所の高炉から排出された溶解状態のスラグに水や空気を拘束で大量に吹き付けて急冷粒状体とし、これを微粉砕して調整した物である。急冷することによりスラグは結晶化することなくガラス質で化学反応を起こしやすい状態となる。一般的なコンクリートやコンクリート2次製品、高流動コンクリートや高強度コンクリートなど幅広く使用されている。

○高炉スラグ微粉末の種類
 高炉スラグ微粉末は比表面積によって4種類に分けられる。比表面積が大きいほど反応性が良くなるため、初期強度や長期強度が大きくなり、コンクリートの流動性も増大する。自己収縮量は比表面積が大きいと大きくなる傾向がある。
【微粉末3000】
 2013年にJISに追加された最も新しい種類である。マスコンクリート等に使用することを想定した、比表面積が小さい高炉スラグ微粉末である。比表面積が小さいほど温度上昇や自己収縮量で有利である。

 

【微粉末4000】
 最も生産量が多い高炉スラグ微粉末である。一般的な高炉セメントに使用されている。

 

【微粉末6000】
 特別に初期強度を必要とする高炉セメントに使用される高炉スラグ微粉末である。

 

【微粉末8000】
 更に強度が必要な場合や、流動性が求められる際に使用する高炉スラグ微粉末である。充填剤などにも使用されている。

 

○高炉スラグ微粉末の品質規格
高炉スラグ
微粉末3000
高炉スラグ
微粉末4000
高炉スラグ
微粉末6000
高炉スラグ
微粉末8000
密度
2.80[g/cm³]以上
2.80[g/cm³]以上
2.80[g/cm³]以上
2.80[g/cm³]以上
比表面積
2750[cm²/g]以上
〜3500[cm²/g]未満
3500[cm²/g]以上
〜5000[cm²/g]未満
5000[cm²/g]以上
〜7000[cm²/g]未満
7000[cm²/g]以上
〜10000[cm²/g]未満
活性度指数(材齢7日)
55[%]以上
75[%]以上
95[%]以上
活性度指数(材齢28日)
60[%]以上
75[%]以上
95[%]以上
105[%]以上
活性度指数(材齢91日)
80[%]以上
95[%]以上
フロー値比
95[%]以上
95[%]以上
90[%]以上
85[%]以上
酸化マグネシウム
10.0[%]以下
10.0[%]以下
10.0[%]以下
10.0[%]以下
三酸化硫黄
4.0[%]以下
4.0[%]以下
4.0[%]以下
4.0[%]以下
強熱減量
3.0[%]以下
3.0[%]以下
3.0[%]以下
3.0[%]以下
塩化物イオン
0.02[%]以下
0.02[%]以下
0.02[%]以下
0.02[%]以下