○ポゾラン活性(pozzolanic activity)
フライアッシュに含まれている可溶性の二酸化ケイ素(SiO₂)がセメントの水和の際に生成される水酸化カルシウム(Ca(OH)₂)と常温で徐々に化合して、不溶性の安定なケイ酸カルシウム水溶物を生成する。このような性質をポゾラン活性と呼んでいる。フライアッシュ自体には水硬性はない。
【ポゾラン活性の化学式の一例】
二酸化ケイ素 + 水酸化カルシウム = ケイ酸カルシウム水溶物
SiO₂ + Ca(OH)₂ = CaO・SiO₂・H₂O
○ワーカビリティーを改善
フライアッシュは表面が滑らかな球状のため、コンスクリートに混和したときにワーカビリティーが改善される。そのため、所要のコンシステンシーを得るためのに必要な単位水量を少なくすることができる。
○強熱減量が多いと…
フライアッシュの強熱減量は、未燃炭素の含有量の目安となるものである。未燃炭素含有率が大きいほど、AE剤の吸着が増大し、空気連行性が低下するためAE剤の使用量を増やす必要がある。
【参考】AE剤とは?
○水密性を高める
フライアッシュを使用したコンクリートは、養生を十分に行えば水密性が向上する。これは、フライアッシュ周辺部がポゾラン反応生成物で満たされ、長期にわたって強度が増進するためである。しかし、湿潤養生が十分でないと強度不足や凍害による表面劣化の増大を招きやすくなす。
○化学的抵抗性が大きい
セメントの水和反応に際して有利石灰の生成が少ないため、化学的な作用や海水に対する抵抗性が大きくなる。フライアッシュの混入率を15%以上とすればアルカリシリカ反応も抑制される。
○水和熱減少
セメントの一部と代替してフライアッシュを使用すると、セメント量が減るため水和熱の発生を抑制することができる。
○中性化の進行は早くなる。
通常のコンクリートと比較して、フライアッシュを混入したコンクリートは中性化の進行が早くなる。これは、コンクリートをアルカリ性に保つために必要な水酸化カルシウムをポゾラン反応で消費するためである。