○シリカフュームの概要
主成分は二酸化ケイ素(SiO₂)である。完全な球形で大きさは1μm以下、平均粒径は0.1μm、比表面積は200000cm²/g程度の超微粒子ある。密度は2.1〜2.2g/cm³程度、かさ密度0.25〜0.3g/cm³で灰色である。
1990年代を最後に国内生産されておらず、現在国内で使用されているシリカフュームは全て輸入品である。輸入先は、ノルウェー、中国、南アフリカ、エジプト、北米等である。
JISでは、粉体、粒体、スラリータイプのシリカフュームを規定している。粒体およびスラリータイプは密度を大きくして輸送効率を向上させることを目的としたものである。
○マイクロフィラー効果
シリカフュームをセメントと質量で10〜20%置換したコンクリートは、高性能AE減水剤と併用することにより所要の流動性が得られ、ブリーディングや材料分離の小さいものが得られる。また、繊維補強コンクリートの繊維の分散性がきわめて良くなる。
水セメント比が20%以下の場合、セメントペーストに高性能AE減水剤を多量に添加してもばさばさの状態にしかならないが、これにシリカフュームを添加すると流動性が得られ、かつ材料分離を生じない。このようなコンクリートは圧縮強度が120〜270N/mm²の高強度が得られる。
これらは、シリカフュームがセメント粒子の間に充填されるためで、マイクロフィラー効果と呼ばれる。
○高強度化のメカニズム
水結合材比が30%程度の場合、蒸気養生の場合材齢1日で100N/mm²、オートクレープ養生の場合140N/mm²、標準養生の場合でも材齢28日で100N/mm²が得られる。
このような高強度コンクリートが得られるのは、シリカフュームを用いることでセメントペーストを密実にして細孔容積を小さくすることができるためである。そのため、透気性が小さくなり、水密性、化学抵抗性などが増大する。
○乾燥収縮、自己収縮
シリカフュームを使用したコンクリートの収縮量は、水結合材比が50%以下の場合は通常のコンクリートと比較して同等かそれ以下である。水結合材比が65%の場合は収縮量が大きくなる。
これは、シリカフュームの混入により収縮力が増大するが強度も大きくなり、変形しにくくなったためと考えられる。
○アルカリシリカ反応の抑制効果
シリカフュームを大量に用いた場合にはフライアッシュや高炉スラグ微粉末の場合と同様、アルカリシリカ反応の抑制効果が期待できる。しかし、通常の混和率では長期にわたる抑制効果は期待できないという報告もある。