○締め固めの目的
コンクリートの締め固めの目的は、
「内部の空隙を少なくし、鉄筋、埋設物などとコンクリートをよく密着させ、コンクリートを均一で密実にする」
ことである。
○振動締め固め
振動締め固めはコンクリートの加振力以上の振動を与えると、コンクリートの粘性が急激に低下して液状化するという特性を利用している。振動の効果は加速度に比例する。したがって、振動数の大きな振動器を用いるほど締め固めには効果的である。振動数は120Hz以上、200Hz程度が望ましい。振動締め固めの能力は小型振動機で4〜8m³/h、大型振動機で30m³/h程度である。
○振動締め固めの間隔
振動機の種類に応じて適切な間隔で挿入する。挿入間隔はJASS 5では普通コンクリートの場合は60cm以下としている。また、コンクリート標準示方書では間隔を50cm以下としている。これらは呼び径45mmの振動体の有効範囲から定めたもので、これよりも小さい振動機を用いる場合はさらに間隔を狭くする必要がある。以下にスランプと振動機による影響範囲の関係の表を示す。
・振動の影響範囲(コンクリートの振動締め固めに関する実験報告書より)
スランプ
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8cm
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12cm
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12cm
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振動機直径
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50mm
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50mm
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40mm
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振動の影響範囲
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37〜40cm
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29〜52cm
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30〜40cm
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○振動締め固め時間
振動時間は、打ち込まれたコンクリート表面の沈下が認められなくなってほぼ水平となり、表面にセメントペーストが浮き上がり光沢が現れた状態を目安として、材料分離が生じない範囲とする。一般的に1箇所あたり5〜15秒とされている。
○締め固め方法の種類
・棒形振動機
区分:内部振動
振動によってコンクリートを液状化させ、脱泡、締め固め、せき板とのなじみをよくすること全てに効果がある。硬錬り、軟練りを問わずすべてのコンクリートの締め固めに効果を発揮する。
・型枠振動機
区分:外部振動
振動をせき板に伝達させることによって、内部のコンクリートを加振させる。影響範囲は表面分限られるため、内部のコンクリートを大量に締め固めることはできない。主として表面から見える豆板や気泡の減少に役立つ。型枠振動は型枠にエネルギーが吸収されコンクリートに有効に振動が伝わりにくいため、補助的な振動機として用いる。
・突き棒
区分:人力
補助的な利用に限る。小規模の軟練りコンクリートを入念に突き固める場合のみに用いることができる。スランプ試験で試料をスランプコーンに詰める際にも使用する。
・木づち
区分:人力
型枠とコンクリートとのなじみを良くする効果が主である。せき板面の水道をつぶすのに役立つ。音によりコンクリートが詰まっているかを判断できる。打ちっ放しのコンクリートには有効である。