コンクリートの現場内運搬【各方法の概要】

○コンクリートの現場内運搬方法
 コンクリートポンプ、コンクリートバケット、コンクリートタワー、ベルトコンベア、シュート、手押し車などの方法がある。各方法の概要を記載する。

 

○コンクリートポンプ
 コンクリートポンプとは、フレッシュコンクリートを機械的に押し出し、配管を通して連続的に運搬する装置である。打ち込み場所までの配管が設置できれば狭い場所や高所、水中でもコンクリートが運搬できる。コンクリートポンプの特徴を以下に示す。
水平運搬距離
〜500m
垂直運搬距離
〜120m
運搬量
20〜70m³/時間
適用範囲
一般・長距離・高所
備考
一般的に幅広く使える、配管が必要

 

○コンクリートバケット
 コンクリートバケットとはフレッシュコンクリートを運搬するために下端部に開閉口がついた桶状の容器である。桶にフレッシュコンクリートを入れて、クレーン等で桶を運搬する。打設箇所で桶の下部を開きコンクリートを排出する。クレーンで吊り上げて運搬するため振動が少なく材料分離が起きにくい。コンクリートバケットの特徴を以下に示す。
水平運搬距離
〜50m
垂直運搬距離
〜50m
運搬量
15〜20m³/時間
適用範囲
一般、高強度
備考
分離が少ない
バケットを運搬する設備が必要

 

○コンクリートタワー
 コンクリートタワーとはコンクリートを垂直に運搬するためのタワーである。タワーに設置したバケットにフレッシュコンクリートを所定の高さまで運搬し、上部でホッパに受けて手押し車等で再度運搬して打設する。
垂直運搬距離
50〜120m
運搬量
15〜25m³/時間
適用範囲
高所運搬
備考
他の方法との組み合わせが必要

 

○ベルトコンベア
 ベルトコンベアは硬練りコンクリートを水平に近い方向に連続して運搬するのに適している。運搬条件によるが、スランプ10ほどが運搬限界の目安になる。スランプがそれ以上だと運搬中にベルトコンベアの脇やジョイントからこぼれる量が増えて運搬が困難になる。
 ベルトコンベアを用いて運搬する際、運搬距離が長い場合は直射日光による乾燥や降雨への対策が必要である。また、ベルトにモルタル分が付着するため、スクレーパーを設けコンクリート中のモルタル分の流失を防ぐようにする。
水平運搬距離
5〜100m
運搬量
5〜20m³/時間
適用範囲
硬練り用
備考
分離しやすい、軟練りに適さない

 

○シュート
 高所からコンクリートを降ろす際に狭い等の理由でバケットを打設箇所へ持って行くことが出来ない場合にシュートを用いる。シュートは筒状になっており、シュートの下端を打設箇所へ設置し任意の位置へコンクリートを打設する。斜めシュートを用いる際は材料分離に注意する。JASSでは水平に対して30度以上、標準示方書では水平2に対して鉛直1程度と定めている。
垂直(斜め)運搬距離
5〜20m
運搬量
5〜50m³/時間
適用範囲
一般
備考
分離に注意する必要がある

 

○手押し車
 手押し車(一輪車、ねこ)を用いて人力で運搬する方法である。この方法を行う場合は振動で材料が分離しないようできるだけ平坦な運搬経路を設ける。長距離・長時間の運搬は避け、材料が分離した場合は練り直して使用する。
水平運搬距離
10〜60m
運搬量
0.05〜0.11/台
適用範囲
小規模工事
備考
振動対策が必要