鉄筋の継手【継手の種類】

○概要
 鉄筋は適当な長さに切断された状態で現場に搬入されるため、組み立てる際に継手によって延長する必要がある。継手には重ね継手や圧接継手、機械式継手などの種類があり、鉄筋径や要求される性能によって使い分ける。

○重ね継手
 鉄筋を平行に重ね合わせるもので、施工が容易である。D32程度までの鉄筋に用いられる。重ね継手は設計図に示された位置に設け、継手は互いにずらして配置する。継手長さは鉄筋径の○○倍と規定されるため、鉄筋径が大きくなると継手の長くなり不経済となる。また、鉄筋の組立やコンクリートの打ち込みなどの施工性が悪くなる。
○ガス圧接継手
 鉄筋を付き合わせ、接合部を酸素・アセチレンガス炎で加熱しながら圧力を加えて接合する方法である。一般にD19〜D51の鉄筋に用いられる。ガス圧接は有資格者が行う。圧接箇所は鉄筋の直線部とし、曲げ加工部は避ける。SD490を圧接する場合はJISに規定がないため、試験によって性能を確認する必要がある。圧接を行うことができる鉄筋は同一種類間、または強度的に直近な種類間である。また、鉄筋径の差が7mmを超える場合には原則として圧接しない。
○アーク溶接継手
 ガス圧接継手は母材同士を直接接合するのに対して、アーク溶接継手は溶着金属(溶接棒)を介して間接的に接合する方法である。鉄筋端に開先を取り溶接する「突き合わせ継手」、鉄筋を重ね合わせて溶接する「隅肉継手」がある。
○アモルファス結合継手
 鉄筋端面にアモルファス金属箔を挿入し、接合部を高周波誘導加熱装置によって加熱・加圧することで生じる金属箔中の元素の拡散現象を利用する継手である。
○機械式継手
 鋼製スリーブに鉄筋を挿入し圧着する「スリーブ圧着継手」、鉄筋をねじ状にしてカプラーで接合する「ねじ節鉄筋継手」、継手内を充填剤で充填して接合する「充填継手」などがある。