鉄筋コンクリート用防せい剤【不動態皮膜を再生】

○鉄筋コンクリート用防せい剤
 鉄筋コンクリート用防せい剤とは、コンクリート中の鋼材がコンクリートに含まれる塩化物によって腐食するのを抑制するために用いる混和剤である。JIS A 6205に「鉄筋コンクリート用防せい材」が規定されている。JISに規定されている防せい材の使用方法はフレッシュコンクリートの練り混ぜ水に防せい材を混入し使用するとしているが、一般的に販売されている防せい材の中には劣化した既設コンクリートの表面に塗布するあと施工型の防せい材もある。

○鋼材腐食のメカニズム
 コンクリート中の鋼材はセメントの水和反応によって生じるアルカリ成分によって保護されているため、通常は腐食しない。ところが、コンクリート中に一定量以上の塩化物イオンが存在すると、鋼材を保護する不動態皮膜が塩化物イオンによって破壊されて腐食を生じる。
 【反応式】
2Fe²⁺(鉄イオン)+ 2OH⁻(水酸化物イオン)
→Fe(OH)₂(水酸化第一鉄)

 

○防せい材のメカニズム
 防せい材は亜硝酸化合物を主成分としており、鉄イオン(Fe⁺)と亜硝酸イオン(NO₂⁻)が反応して鉄筋を保護する皮膜を形成し錆の発生を抑制する。
 【反応式】
 2Fe²⁺(鉄イオン)+ 2OH⁻(水酸化物イオン)+ 2NO₂⁻(亜硝酸イオン)
 →2NO(一酸化窒素)+ Fe₂O₂(不動態皮膜)+ H₂O(水)