寒中コンクリート【施工】

○型枠支保工
 支柱や支保工を凍結した地盤上に立てないようにする。これは、凍結した地盤が融解することによって変位が生じ、正確な構造物の位置、形状、寸法が得られないためである。また、最悪の場合は倒壊する恐れもある。このような場合は地盤の凍結を防ぐかくい打ち基礎とする等により対処する。

○製造
 荷卸し時のコンクリート温度はJASS5で10〜20℃、打込み時のコンクリート温度はコンクリート標準示方書で5〜20℃と定められている。
 温度の上限を20℃としている理由は下記の通りである。
1.周囲との温度差が大きすぎると蒸発が促進され冷却が過度となる可能性がある
2.温度が高すぎる場合、所要のスランプを得るための単位水量が多くなる
3.コンクリートの凝結が早くなる
4.長期強度が低くなる

 

○打込み
 コンクリート打込み時に鉄筋・型枠などに氷雪が付着していてはならない。また、凍結した地盤上に打ち込んではならない。これは、凍結した場所にコンクリートを打ち込むと氷晶が溶けて不均質な沈下をする危険性があるためである。打ち継ぎ目の旧コンクリートが凍結している場合も溶かして打継ぎ面の処理を行ってから打設する。

 

○養生方法
 加熱養生、断熱養生、被覆養生の3種類がある。
 加熱養生とはコンクリートまたは構造物の周囲に上屋または囲いを設け、その内部の空気を加熱してコンクリートの冷却を防止する養生方法である。
 断熱養生とはコンクリート表面を断熱シートやマット、断熱材料などを用いて覆いセメントの水和熱を利用する養生方法である。コンクリート標準示方書では保温養生と呼んでいる。マスコンクリートで有効な方法である。
 被覆養生とはシートなどでコンクリートや型枠の表面を覆い、打ち込まれたコンクリートから水分の蒸発と風の影響を防ぐ簡易な養生方法である。

 

○初期凍害を防ぐために養生終了時に必要となる圧縮強度の標準
コンクリート表面
部材断面が薄い
普通
部材断面が厚い
水で飽和される
15(N/mm²)
5(N/mm²)
5(N/mm²)
水で飽和されない
5(N/mm²)
5(N/mm²)
5(N/mm²)