アンカリング効果とは【予想の起点を作る】

〇アンカリング効果とは
アンカリング効果とは、ある未知の数値を見積もる前に何らかの特定の数値が示されると、見積もる数値がその特定の数値に引き寄せられる現象である。

〇アンカリング効果の例
初めて見る機械の値段を見積もってもらう際に、「この機械の値段は10億円以上だと思いますか?」と尋ねるのと「3億円以上だと思いますか?」と尋ねるのでは、見積もり結果が異なる。
見積もり者は、本当は5億円ぐらいだと思っていたとする。「10億円以上だと思いますか?」と聞かれた場合に「そこまで高くはない」と答えたとしても「じゃあいくらですか?」と聞かれると、さっきの10億円というキーワードに影響を受けて、「7億円」等、見積もり金額が10億円にが引っ張られる。逆に「3億円以上だと思いますか?」と聞かれた場合は、見積もり結果が3億円に影響を受け、見積もり価格が下がる。

〇アンカリング効果の例その2
アンカリング効果は全く関係がない数値からも影響を受けることがわかっている。ある実験によると、宝くじの当選番号を決める回転式の円盤を回して出た数字をメモした後に国連加盟国に占めるアフリカ諸国の比率を尋ねた結果、事前にメモした数値がアフリカ諸国の比率の推定結果に影響を与えることがわかった。

〇アンカリング効果の使い方
交渉では先手を打つほうが有利である。先に希望価格を言うことでアンカリング効果が働く。逆に相手がアンカリング効果を狙って先手を打ってきた場合は、それ以上交渉を進めないほうが良い。どんなにいい加減なアンカーでも、影響の大小はあるが必ず影響を受ける。アンカリング効果は絶大である。