保有効果【手に入れた物は手放したくない】

○保有効果とは
保有効果とは、ある品物を保有すると、手放したくないと感じる現象である。

○保有効果のメカニズム
人間は損を嫌う。1万円を「貰える」喜びよりも、1万円を「失う」悲しみの方が大きい。この現象を損失回避性という。保有効果は損失回避性の応用である。一度品物を「保有」することで心理的な基準点が品物を「保有」している状態になる。その品物を手放すということは、心理的な基準点から品物を「失う」ことになり、損失回避性が働き保有効果が発揮される。

○保有効果の特徴
保有効果は「使用」を目的とした品物を手放す際に生じる現象である。初めから「交換」を目的としていた場合は保有効果を発揮されない。

○保有効果を軽減するために
人間は「失う」ことに抵抗を感じる。「失う」ことに着目するのではなく、「得る」ことに着目すべきである。車の買い替えを例に考える。今保有している車Aを手放して、車Bを買うべきか否かを考えている。この時、車Aを失うことに人間は抵抗を感じる。保有効果を低減するためには、「車Aを手放して車Bを買うべきか」と考えるのではなく、「車Aを所有している状態と車Bを所有している状態はどちらが好ましいか」を考える。