質問の置き換えとは【難しい質問を簡単な質問に変換】

○質問の置き換えとは
質問の置き換えとは、困難な質問・問題に直面した時に、元の質問に関連する簡単な質問を見つけて答えを見つける現象である。

○質問の置き換えの例
「パワハラ上司にどのくらいの罰を与えるべきか」という問題を考えてみる。この問題に正確に解答しようと思った場合は、色々と調べる必要がある。被害者はどの程度の被害を受けているのか。客観的にみてパワハラだったのか。両者の意見の食い違いはないか。パワハラの実態を証明する証拠はあるか。同種の問題があったときに過去の事例はどうなっているのか。など。
しかし、今すぐ答えを出せと言われれば、我々は「罰金○○円ぐらい」等、とりあえずの答えを出すことができる。何故答えることができるのか。それは、「パワハラ上司にどのくらいの罰を与えるべきか」という質問を「パワハラ上司がどれくらい嫌いか」「私だったらいくらもらったら許せると思うか」という質問に置き換えているからである。

○質問の置き換えの問題点
質問の置き換えは「すぐに答えを出す」という点では優れた習性である。しかし、置き換えが適切かどうかをしっかりと考える必要がある。置き換えが不適切だった場合は、答えも不適切であることが多い。そして、人間は質問を置き換えていることに気が付きにくい。
例えば、
「日本全国でアンケートを取った結果、50%の人がインターネットを利用した選挙には反対と解答しました」
というニュースがあったとする。
このアンケート方法が「インターネットを利用して」だった場合は反対が少なくなる可能性が高い。一方、「無作為の電話番号」だった場合は、反対が多くなる可能性が高い。アンケート方法を記載しない限り、このニュースも「置き換え」の1つである可能性がある。
本来は
「日本全国で【平日の昼間に無作為に電話をかけて、家にいる方に電話で】をアンケートを取った結果、【解答者の8割が80歳以上の高齢者の方でしたが】50%の人がインターネットを利用した選挙には反対と解答しました」
かもしれない。

○質問の置き換えを利用する
質問の順番を変えると、答えが変わることがわかっている。
①「先月何回デートしましたか?」⇒「最近どのくらい幸せですか?」
②「最近どのくらい幸せですか?」⇒「先月何回デートしましたか?」
上記①・②は、質問の内容は全く同じであり、質問の順番を変えただけである。
しかし、「幸せ」と答える確率は ①>② となる。
これは「デート」が「幸せ」に置き換えられ、デートをしたことを事前に思い出すことで幸せと感じやすくなるためである。