利用可能性ヒューリスティックとは【印象に残ることは起こりやすいと感じる】

〇利用可能性ヒューリスティックとは
利用可能性ヒューリスティックとは、個人的に経験したことなどすぐに思い浮かぶ事象は頻繁に起きることだと感じる現象である。

〇利用可能性ヒューリスティックの例その1
ある職場では10人のチームで仕事を行っている。そのチームメンバーそれぞれに「あなた自身のチームへの貢献度は何%ですか?」と尋ねる。その答えを合計すると、100%を必ず超える。これは、自分の貢献度は自分自身のことなので仕事内容を容易に思い出すことができるためである。その結果、自分自身の貢献度を過大に見積もってしまう。

〇利用可能性ヒューリスティックの例その2
飛行機の事故が起きるとテレビ等で大々的に報道される。その結果、人々の印象に深く刻まれる。その結果、利用可能性ヒューリスティックに陥り、実際よりも高確率で飛行機事故が起きると考えるようになる。実際は、週に1回飛行機に乗る人が事故に遭遇する確率は、7800年に1回である。

○利用可能性ヒューリスティックの例その3
テロリズムは利用可能性ヒューリスティックを利用した典型例である。衝撃的な事件を起こし、世間に恐怖を与える。その様子が報道等で拡散され、恐怖の印象を与える。その結果、テロが身近でも起きるのでないかという心理を与える。

○利用可能性ヒューリスティックの応用
「あなたの優しいところを3個あげてください。」と質問をすると誰でも3つぐらいはすぐにスラスラと答えることができる。その後、「あなたは優しい人ですか?」と尋ねると、「優しい」と答える人が増える。これも利用可能性ヒューリスティックの影響である。
逆に、「あなたの優しいところを10個あげてください」と質問すると、5個ぐらいから出てこなくなる。頑張って10個答えてもらった後に、「あなたは優しい人ですか?」と尋ねると、「優しくない」と答える人が増える。これは、「優しいところをあげる」ことに苦労した結果、「私は優しい人間ではない」と感じるようになったからである。
もし仮に「私はダメな人間だ」と落ち込んでいる人がいたら「具体的にダメな理由を10個教えてください」と尋ねてみると良い。どんなに落ち込んでいる人でも、10個もダメな理由をスラスラ答えることができることはない。その結果「そこまでダメな人間ではない」と感じるようになる。
もし仮に「この人は嫌いだ!全てが嫌いで顔も見たくない!」と思う人がいたら、その人のことは嫌いな理由を10個書き出して見ると良い。どんなに嫌いな相手でも、嫌いな理由を10個書くのは難しい。その結果、「あの人のここは嫌いだ」ぐらいに変化するはずである。