平均への回帰【ランダムには波がある】

○平均の回帰とは
複数回試行を行うときに、1回目に極端に良い(悪い)結果が出た場合は、2回目以降は平均へ近づくという法則である。

○平均の回帰の例
ある学校で実技テストを行った。良い結果が出た生徒を褒めると、次回は悪い結果となることが多かった。悪い結果が出た生徒を叱ると、次回は良い結果が出ることが多かった。この例から、教育とは叱るべきであると結論を出した。

この例は平均の回帰を全く理解していない例である。テストの成績はある程度ランダム性がある。ランダム性があるため、良い結果が出た後に悪い結果が出ることはよくある。決して褒めたり叱ったりしたせいではない。

○平均への回帰の難しい点
我々人間はストーリーが大好きである。ただ単に平均への回帰が起きているだけなのに、理由を作りたがる。

・2年目のジンクス

1年目に大活躍した選手が2年目に不振に陥ることがある。2年目のジンクスと呼ばれるこの現象は、「相手に研究されたため」や「慢心があった」などと言われるが、ただ単に平均への回帰の可能性が高い。1年目がたまたま運が良かっただけである。

・頭がいい女性は自分より頭が悪い男性と結婚する

あれこれ理由を考えたくなるが、統計的に当たり前のことを言っている。頭がいい人は、自分より頭がいい人に出会う確率が少ない。

○平均への回帰に騙されないために

平均への回帰は身の回りに溢れている。不況の後には好景気が来る。不調の後には好調が来る。失敗の後には成功が待っている。目先の出来事に振り回される必要はない。しっかりと先を見て、自分の目指すべき道を進むことが大切である