場所打ちライニングシールドとは【概要】

○場所打ちライニングシールドとは
 場所打ちライニングシールドはシールドテール部にコンクリートを打設し、コンクリート加圧ジャッキにより加圧して覆工を構築するシールドである。場所打ちライニングシールドの掘削機構やシールド各部の構成は基本的に通常のシールドと同様であるが、コンクリート加圧機構および内型枠や鉄筋の組立機構に特徴がある。また、近年NATMの設計思想を取り入れテール部で1次覆工となる場所打ちコンクリートを打設し一次支保材として地山を保持、その安定性を計測により確認したのち、力学的機能を付加させない二次覆工を施工する工法が開発されている。(トンネル標準示方書より)

 

○場所打ちライニングシールドの特徴
 代表的な非開削トンネルの施工方法は山岳工法とシールド工法である。山岳方法は地盤の状況に応じて支保の構造や補助工法を用いて施工を行うためシールド工法に比べて経済性で優れることが多いが、切羽崩壊などの危険が伴うことがある。一方シールド工法は密閉状態で施工を行うため安全性は高いが、覆工に用いるセグメントは正確な寸法精度が要求されるため工場製作となり、製作~運搬を考慮すると経済性に問題がある。
 このような背景のもと、山岳工法とシールド工法の境界領域の地盤に対しては場所打ちライニング工法が適用されることが増えている。場所打ちライニング工法の掘削はシールドを用いて密閉状態で施工を行う。覆工は山岳工法の発想を用いてコンクリートを打設して止水性能を求めるのではなく、トンネル内空の支保機能を期待してライニングの変形が収束した後に二次覆工を行う。

 

○場所打ちライニングシールドの掘進施工サイクル
  1. シールドを掘進する
  2. 掘進と同時に掘進速度に合わせてコンクリートを打設する
  3. 打設の圧力に合わせて妻型枠ジャッキ(加圧機構)を調整する
  4. 掘進終了、コンクリートの打設も終了する
  5. 内型枠(セグメント)を組み立てる
  6. 組立中は妻型枠ジャッキを張ったままにし、妻型枠を保持する
  7. 内型枠を反力とし、再度掘進する
※内型枠(セグメント)はコンクリートが硬化した後方から順次切羽へ打って替して使用する

 

○コンクリート加圧機構
 コンクリート加圧機構は地山と内型枠の間に打設したコンクリートを加圧するための装置で、コンクリート加圧ジャッキとつま型枠で構成され、コンクリート漏洩防止と圧力調整機能を有している。これらは使用目的に適合した十分な強度を有するものでなければならない。コンクリート加圧ジャッキはコンクリートの流動性、充填性を確保するために、掘進速度と連動させて制御する必要がある。(トンネル標準示方書より)