急性毒性とは【致死性の危険性】

一般事項

急性毒性とは、化学品の経口若しくは経皮からの単回ばく露、24時間以内の複数回ばく露、又は4時間の吸入ばく露によって動物を死に至らしめる等によってヒトに対しても致死性の影響があると考えられる、又は知られている性質である。

急性毒性の区分の分類は、物質の吸入経路ごとに設定されたATE(Acute Toxicity Estimates)の値によって分類される。ATE(Acute Toxicity Estimates)とは、「Acute:急性の」「Toxicity:毒性」「Estimate:推定」であり、急性毒性のことである。

ATE(Acute Toxicity Estimates)の値は動物実験等により算定された、LD50やLC50の値の推定値を現している。

LD50の「LD」は「Lethal dose」であり、致死量という意味である。「LD50」は実験動物に投与した時に、半数(50%)を死亡させると推定される量であり、[mg/kg体重]であらわされる。

LC50の「LC」は「Lethal Concentration」であり、致死濃度という意味である。「LC50」は実験動物に投与した時に、半数(50%)を死亡させると推定される量であり、[ppm]や[mg/m³]であらわされる。

急性毒性の区分及び判定基準値

経口[mg/kg体重]

 経口とは、口から身体に入ることである。LD50の値により区分1~区分4に分類される。区分1が最も危険な分類である。

区分1区分2区分3区分4
ATE≦55<ATE≦5050<ATE≦300300<ATE≦20000

経皮[mg/kg体重]

 経皮とは、皮膚から身体に入ることである。LD50の値により区分1~区分4に分類される。区分1が最も危険な分類である。

区分1区分2区分3区分4
ATE≦5050<ATE≦200200<ATE≦10001000<ATE≦2000

気体[ppmV]

 気体とは、ガスであり、常温・常圧の状態で固体や液体状ではなく、気体のものである。LC50の値により区分1~区分4に分類される。区分1が最も危険な分類である。

区分1区分2区分3区分4
ATE≦100100<ATE≦500500<ATE≦25002500<ATE≦20000

蒸気[mg/L]

 蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものである。LC50の値により区分1~区分4に分類される。区分1が最も危険な分類である。

区分1区分2区分3区分4
ATE≦0.50.5<ATE≦2.02.0<ATE≦1010<ATE≦20

粉じん及びミスト[mg/L]

 粉じんとは、固体に研磨・切削、粉砕等の機械的な作用を加えて発生した個体微粒子が空気中に浮遊しているものであり、粒径は1〜150μm程度のものである。

 ミストとは、液体の微細な粒子が空気中に浮遊しているものであり、粒径は5〜100μm程度である。

 いずれも、LC50の値により区分1~区分4に分類される。区分1が最も危険な分類である。

区分1区分2区分3区分4
ATE≦00.500.5<ATE≦0.50.5<ATE≦1.01.0<ATE≦5