SDSの「9.物理的及び化学的性質」の読み方【記載事項の解説】

物理的及び化学的性質の概要

この項目には、次の事項に該当する場合には、その情報を提供する。

  • 物理状態
  • 臭い
  • 融点・凝固点
  • 沸点又は初留点及び沸騰範囲
  • 可燃性
  • 爆発下限界及び爆発上限界・可燃限界
  • 引火点
  • 自然発火点
  • 分解温度
  • pH
  • 動粘性率
  • 溶解度
  • -n オクタノール/水分配係数(log値)
  • 蒸気圧
  • 密度及び/又は相対密度
  • 相対ガス密度
  • 粒子特性

融点/凝固点、溶解度、n-オクタノール/水分配係数(log値)について混合物については記載しなくてもよい。

引火点が35℃を超え60℃を超えない液体は、危険物輸送に関する勧告試験方法及び判定基準のマニュアルの燃焼持続性試験L.2において否の結果が得られている場合は、規則目的(航空法、船舶安全法)によっては引火性液体とされないことがある。輸送において引火性/可燃性の除外を考慮する場合には、燃焼持続性についての情報を示す。

放射線、かさ密度など当該化学品の安全な使用に関係するその他のデータを示すことが望ましい。

単位は、JIS Z 8000-1及びJIS Z 8000-0に従って国際単位系(SI)で表示する。ただし、SIを主表示として、SI以外の単位を併記してもよい。

可能な場合、性状の測定方法を記載することが望ましい。

物理状態

ガス、液体および固体の定義に従い標準状態下の状態を示す。

なお、定義に従った判断が難しい場合は、融点、沸点や常温の外観などから判断する場合もあると考えられる。

化学品の色を示す。いくつかの製品をまとめる場合、「若干違う場合がある」との記載もよいとされる。

臭い

実際の臭いまたは文献の情報を記載する。臭いの閾値(定性的または定量的)の情報もあれば記載する。

融点・凝固点

標準圧力下の液体または固体の値、融点が測定方法の範囲を超える場合は、融点が観察できなかった上限温度を示す。

分解や昇華が融解前または溶解中に起きた場合はその旨を記載する。

ワックスやペーストは、軟化温度/範囲を示してもよい。混合物で融点/凝固点を測定することが技術的に困難な場合はその旨記載する。

沸点又は初留点及び沸騰範囲

標準圧力下の値、沸点が測定方法の範囲を超える場合は、沸点が観察できなかった上限温度を示す。

分解が沸騰前または沸騰中に起きた場合はその旨記載する。

混合物で沸点又は沸点範囲を測定することが技術的に困難な場合はその旨記載する。その場合、沸点が最も低い成分の沸点も示す。

可燃性

ガス、液体及び固体の物質又は混合物の発火性の情報を示す。

爆発性や非標準状態下での点火の可能性、各危険性の分類に基づくより具体的な情報を示してもよい。

爆発下限界及び爆発上限界・可燃限界

固体は該当しないが、引火性液体の場合は少なくとも爆発下限は記載する。

引火点>‐25℃の場合の爆発上限および、引火点>+20℃の場合の爆発下限は、標準温度での値は、測定困難であり、その場合はより高い温度での爆発上限を示す。

引火点

液体の引火点およびその試験方法に関する情報を示す。

混合物は混合物としての値を示す。

混合物の値がない場合、最も低い引火点を持つ成分の引火点を示す。

自然発火点

ガスおよび液体の自然は発火点を示す。

混合物は、混合物としての値を示す。混合物の値がない場合、最も低い自然発火点を持つ成分の引火点を示す。

分解温度

自己反応性物質、有機過酸化物、分解性物質および混合物について、SADT(自己加速分解温度、適用容量)、分解開始温度を示す。

分解が観察されない場合は、自己分解が観察されなかった上限温度を示す。

pH

固体、液体の水生液体および溶液pHを試験物質の濃度とともに示す。

pHが≦2または≧11.5の場合は、皮膚および眼への有害性の評価と関係する。

動粘性率

液体のみ該当し、単位はmm²/sが望ましい。

動粘度を示してもよい。

動粘性率(mm²/s)=動粘度(mPa・s)/密度(g/㎝³)

非ニュートン液体は、チキソトロピーまたはレオベクシーであるかを示す。

溶解度

標準温度下の水の溶解度を示す。

他の溶媒への溶解度を追加してもよい。

混合物の場合は、全部または一部が水またはほかの溶媒に溶解または混和するのか示す。

-n オクタノール/水分配係数(log値)

「オクタノール/水分配係数」とは化学物質の疎水性(脂質への溶けやすさ)を表す物理化学的な指標である。数値が高ければ使用性が高いという目安になる。

無機およびイオン性液体、混合物は該当しない。

QSAR(定量的構造活性相関)などの計算値は、その旨を記載する。

蒸気圧

標準温度での値を優先し、追加的に50℃における揮発性液体の値を示す。

組成の異なる液体混合物または液化ガス混合物を1つのSDSで対応する場合は、蒸気圧の範囲を示す。

密度及び/又は相対密度

液体、固体が該当し、標準状態下の絶対密度および/または参照として4℃の水を基準とした相対密度(比重)を示す。

バッチ製造などにより密度の変動が起きる場合や組成の異なる物質や混合物の場合は範囲で示してもよい。

相対ガス密度

ガス・液体が該当する。

ガスは20℃の空気を基準とした相対密度を示す。

液体は20℃の空気を基準とした相対蒸気密度を示す。

粒子特性

固体のみ該当し、粒子サイズを示す(中央値および範囲)。

入手可能で適切な場合は、粒形分布(範囲)、形およびアスペクト比、比表面積を追加的に示してもよい。