○施工に関係するコンクリートのひび割れの原因と特徴
(コンクリート技術の要点より)
原因
|
ひび割れの特徴
|
B1.長時間の練り混ぜ
|
全面に網状のひび割れや長さの短い不規則なひび割れ
|
B2.圧送の際のセメント量・水量の増量
|
A3やA6のひび割れが発生しやすくなる
|
B3.配筋の乱れ、鉄筋のかぶり(厚さ)不足
|
床スラブ上面では周辺に沿ってサークル状に発生。配筋・配管の表面に沿って発生
|
B4.急速な打ち込み速度
|
B6やA3のひび割れが発生
|
B5.不均一な打ち込み・豆板
|
各種のひび割れの起点となりやすい
|
B6.型枠のはらみ
|
型枠の動いた方向に平行し、部分的に発生
|
B7.打継ぎ処理不良
|
コンクリートの打継ぎ箇所やコールドジョイントがひび割れとなる
|
B8.硬化前の振動や載荷
|
Dの外力によるひび割れと同様
|
B9.初期養生の不良(急激な乾燥)
|
打ち込み直後、表面の各部分に短いひび割れが不規則に発生
|
B10.初期養生の不良(初期凍結)
|
細かいひび割れ。脱型するとコンクリート面が白っぽく、スケーリングする
|
B11.支保工の沈み
|
床やはりの端部上方および中央部下端などに発生
|
○ひび割れについて解説
B1.長時間の練り混ぜ
コンクリートを長時間練り混ぜると、骨材が砕かれ微粉量が増大してコンクリートの硬化を阻害しひび割れが発生しやすくなる。コンクリート標準示方書では所定の練り混ぜ時間の3倍以上練り混ぜてはならないとしている。
B2.圧送の際のセメント量・水量の増量
コンクリートのポンプ圧送性を高めるために粗骨材を減らしてモルタル分を増量するという方法がある。しかし、この方法を行うとモルタルの割合が増えるため、コンクリートの単位水量が増えてしまう。コンクリートの単位水量が増えると沈下ひび割れ(A3)や収縮ひび割れ(A6)が発生しやすくなる。
B3.配筋の乱れ、鉄筋のかぶり(厚さ)不足
配筋が乱れかぶりが不足すると、そこが弱点となり沈下ひび割れ等が発生しやすくなる。
B4.急速な打ち込み速度
打ち込み速度が早いと側圧が大きくなり、型枠のはらみ(B6)やそれに伴う沈下ひび割れ(A3)が発生する。
B5.不均一な打ち込み・豆板
豆板部が弱点となり、ひび割れの起点となる。
B6.型枠のはらみ
型枠がはらむと、硬化途中のコンクリートが動くのでひび割れの原因となる。
B7.打継ぎ処理不良
打継ぎ面のレイタンスの除去や清掃などの処理が不十分だった場合は、打継ぎ面がひび割れにとなる。また、打ち重ね不良である「コールドジョイント」もひび割れの原因となる。
B8.硬化前の振動や載荷
硬化する前のコンクリートに衝撃を与えると容易に割れが生じ、そのまま硬化してひび割れとなる。
B9.初期養生の不良(急激な乾燥)
コンクリートが急激に乾燥すると水和反応に必要な水分がなくなるため、脆弱なコンクリートとなる。
B10.初期養生の不良(初期凍結)
コンクリート打ち込み後の初期材齢で1回でも凍結するとコンクリートは初期凍害となり、その後適切な温度で養生をしても強度や耐久性などの所有の品質は得られない。
B11.支保工の沈み
コンクリートの重みで支保工が沈下すると、型枠のはらみと同様硬化前のコンクリートが動くためひび割れの原因となる。