ひび割れの原因【使用・環境条件】

○使用・環境条件に関係するコンクリートのひび割れの原因と特徴

(コンクリート技術の要点より)
原因
ひび割れの特徴
C1.環境温度・湿度の変化 A6のひび割れに類似。発生したひび割れは温度・湿度変化に応じて変動する。
C2.コンクリート部材両面の温・湿度差
低温側または低湿側の表面に、曲がり方向と直角に発生
C3.凍結・融解の繰り返し
表面がスケーリングを起こし、ボロボロになる
C4.火災・表面加熱
表面全体に細かい亀甲状のひび割れが発生
C5.鉄筋腐食による膨張
鉄筋に沿って大きなひび割れが発生。かぶりコンクリートが剥落したり錆汁が流出したりする
C6.酸・塩類の化学作用
コンクリート表面が侵されたり、膨張性物質が形成された全面に発生

 

○ひび割れについて解説
C1.環境温度・湿度の変化
 コンクリートは温度が上昇すれば膨張し、低くなれば収縮する。また、吸水すれば膨張し乾燥すれば収縮する。環境の温度や湿度が変化することによりコンクリートが膨張・収縮しひび割れが発生する。

 

C2.コンクリート部材両面の温・湿度差
 コンクリート部材の表裏等で著しい温度・湿度差が生じると内部応力が発生し、ひび割れが起きる。

 

C3.凍結・融解の繰り返し
 「凍害」のことである。水が氷になる時は約9%体積が膨張する。コンクリート内の水が凍結した場合も当然膨張し、その時の膨張圧によりひび割れが発生する。

 

C4.火災・表面加熱
 コンクリートが加熱されると、セメントペーストは収縮し、骨材は膨張する。また、コンクリート中の水分は蒸発しようとする。これらの内部応力によりひび割れが発生する。

 

C5.鉄筋腐食による膨張
 中性化や塩害により鉄筋が腐食すると、体積が2.5倍に膨張する。その膨張圧力によりひび割れが発生する。

 

C6.酸・塩類の化学作用
 酸や塩類によりコンクリートの水和生成物が劣化し、ひび割れが発生する。