○DEF(Delayed Ettringite Formation)とは
DEFとは、エトリンガイトの遅れ生成である。コンクリート硬化後数ヶ月から数年の時間を経てコンクリート中に内存する硫酸塩がアルミネート系水和物と反応することにより、エトリンガイトが再生成されコンクリートが膨張劣化する現象である。
DEFは、
「Delayed」(遅れる)
「Ettringite」(エトリンガイト)
「Formation](形成する)
の頭文字である。
○DEFによる劣化現象
DEFが生じると、コンクリート内部からの膨張により表面に比較的大きな間隔で多方向にひび割れが生じる。ASRと似たひび割れだが、まったく違った現象である。
○DEFの発生条件
DEFは蒸気養生を行った二次製品において事例が報告されている。場所打ちコンクリートにおいては劣化事例は報告されていない。
○DEFの発生メカニズム
エトリンガイトは安定した水和物相であるが、70℃以上の高温に曝された場合には分解して硫酸イオンを放出する。放出された硫酸イオンは水酸化カルシウムやC-S-Hといった水和物に吸着されるが、常温で水分が供給され長期間湿潤状態になると放出される。放出された硫酸イオンにより再びエトリンガイトが生成され、著しい膨張が起きる。