アルカリシリカ反応の調査【シリカがゲル状シリカゲル】

○コンクリート中のアルカリ量の調査
 アルカリシリカ反応はコンクリート細孔溶液中のアルカリ成分とその成分に対して溶解反応を示す骨材中の有害鉱物との反応である。したがって、コンクリート中のアルカリ量を測定することによってアルカリシリカ反応の可能性を予想することができる。

・微粉末試料を用いる方法
 コンクリート試料を粉砕して微粉末状にして調査を行う。熱水抽出法、振とう法、強酸溶解法などの調査法がある。

 

・コア試料を用いる方法
 採取した硬化コンクリートコアを密閉容器内で加圧し、採取された細孔溶液の化学組成を調べる方法である。

 

○コンクリート中の骨材の判定
 コンクリートに使用された骨材のアルカリシリカ反応性を調べる際は、構造物より採取したコンクリート塊を5%程度の希塩酸に浸漬し、骨材に付着したセメントペースト分を完全に融解して骨材のみを取り出し、試験を実施する。

 

・化学法(JIS A 1145)
 化学法は粒度0.15〜0.30mmに調整した骨材試料25gと1mol/LのNaOH 溶液25mlを80℃の温度条件で24時間保持したときに得られるアルカリ濃度減少量と溶解シリカ量の関係を判定図にプロットし、「無害」または「無害でない」と判定する。
 化学法は短期間に結果が得られるという利点があるが、すべての骨材のアルカリシリカ反応性の判定に適しているのではなく、判定することが出来ない種類の骨材もある。

 

・モルタルバー法(JIS A 1146)
 モルタルバー法は骨材を粉砕した試料を使用してモルタルバーを作成し、膨張量を測定することにより反応性を判定する。セメントのアルカリ量が1.2%になるように水酸化ナトリウムを添加したモルタル供試体を湿気箱(温度40℃、相対湿度95℃以上)に保存する。26週後の膨張率≧0.100%の場合に「無害でない」と判定する。なお、13週後の膨張率≧0.050%の場合はその時点で「無害でない」と判定してもよい。
 モルタルバー法は判定までに時間がかかるという問題がある。

 

・迅速法(JIS A 1804)
 迅速法は主にコンクリート生産工程管理用に適用される。モルタルバーを高温高圧下で養生し、超音波伝搬速度・動弾性係数・長さ変化を測定し迅速に骨材のアルカリシリカ反応性を判定する。

 

○アルカリシリカゲルの調査
 アルカリシリカ反応が発生した構造物では反応性骨材の周辺に白色のアルカリシリカゲルが生成され、骨材の周囲や内部の空隙に滞留しひび割れを通ってコンクリートの表面に湧出する。ひび割れにはエフロレッセンスや遊離石灰が発生することが多いので、湧出した物体がアルカリシリカゲルなのかを識別する必要がある。識別する方法としては偏光顕微鏡観察、化学分析、元素分析、走査型電子顕微鏡観察、酢酸ウラニル蛍光法などがある。

 

○残存膨張量
 ASRの兆候が現時点で発見されなくても、長期の供用期間の後にはASRによって構造物が劣化する可能性がある。調査時点で既に膨張しているのか、今後どの程度膨張するかの目安を調査するのが残存膨張量の測定である。
 構造物からコアを採取し、そのコアを促進養生し膨張量を測定することにより残存膨張量の目安とする。コアを採取する際は他の劣化因子の影響を防ぐために、構造物の表面部は除く。