中性化の調査【フェノールフタレイン】

○中性化の調査
 中性化の調査のための資料採取方法は下記の3種類がある。

・はつり法
 はつり法は、はつり取ったコンクリート試料を用いて中性化深さを測定する。中性化深さの測定のみを行う場合にはつり法で試料を採取する。

 

・コア採取法
 コア採取法は採取したコンクリートコアを用いて中性化深さを測定する方法である。コアを用いた他の試験と合わせて中性化深さを測定する場合はコア採取法で試料を採取する。

 

・ドリル法
 ドリル法は、ドリルでコンクリートを削孔した際の削孔粉をフェノールフタレイン溶液を吸収させた試験紙で受け止めることで中性化の判定をする方法である。ドリル法は非破壊試験になるため、試験箇所を多くすることができる。

 

○中性化の判定
 中性化の判定法は下記の2種類がある。
・フェノールフタレイン法
 フェノールフタレインはpH10程度以上で赤紫色に変色、それ以外は着色しないという特性がある。試料にフェノールフタレインの1%溶液を噴霧して、着色した部分は正常、着色しない部分は中性化部と判定する。

 

・示差熱重量分析による方法
 示差熱重量分析装置を使用して、コンクリート微粉末試料を常温から1000℃まで定速で昇温して水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウム量を把握する方法。

 

○中性化の評価
 中性化による劣化の進行は、屋外と屋内で違いがある。
屋外の場合は、中性化している領域が鉄筋に到達すると、鉄筋が急速に腐食する。
屋内の場合は、中性化している領域が鉄筋に到達しても急速には腐食しない。中性化域がかぶり厚さよりも内側に20〜30mm通り過ぎた時点で有害な腐食状況となる。

 

○中性化の進行速度
 中性化の進行速度は時間の平方根に比例する。
中性化深さ=C
経過時間=t
係数=A とすると
 C=A√t
となる。
ここで係数Aは中性化速度係数と呼ばれ、多くの外的・内的要因で定まる係数となるため、通常は中性化深さの実測値から逆算して求める。

 

○中性化への対応
・再アルカリ化工法
 コンクリート表面にアルカリ性溶液を含んだ仮設陽極材を設置し、直流電流をコンクリート中の鋼材に向かって流すことによりアルカリ性溶液をコンクリートに浸透させ、アルカリ化させる工法である。

 

・表面被覆工法
 コンクリート表面を被覆して劣化因子の侵入を抑制する工法である。中性化の抑制を目的とする場合は「防水性」や「ガス透過阻止性」が求められる。

 

・断面修復工法
 劣化因子を含むコンクリートを除去・修復する工法である。