塩害のメカニズム【アノード・カソード】

○塩害とは
 塩害とは、コンクリート中に存在する塩化物イオンの作用により鋼材が腐食し、コンクリート構造物の性能が低下する現象をいう。

○塩害のメカニズム
  1. 塩化物イオン(Cl)がコンクリート内に侵入する
  2. 塩化物イオンが一定の濃度に達すると鋼材表面の不動態皮膜を破壊する
  3. 不動態皮膜が破壊された鋼材から鉄イオン(Fe2+)が細孔溶液中に溶け出す(アノード反応)
  4. アノード反応により鋼材中に残った電子(e)が酸素と水と反応して水酸化物イオン(OH)を生成する(カソード反応)
  5. アノード反応によって生成された鉄イオン(Fe2+) とカソード反応によって生成された水酸化物イオン(OH)が反応し錆である水酸化第一鉄(Fe(OH)2)が生成される

 

○塩害の化学式
・アノード反応
 Fe=Fe2++2e- 鉄=鉄イオン+電子

 

・カソード反応
 O2+2H2O+4e =4OH- 酸素+水+電子=水酸化物イオン

 

・錆の生成
 Fe2++2OH=Fe(OH)2 鉄イオン+水酸化物イオン=水酸化第一鉄

 

○塩害の原因
 塩化物イオンの侵入ルートは内存塩分と外部供給の2種類がある。
 内存塩分とはコンクリート製造時に海砂や塩化物を含む混和材を使用したことによって混入した塩化物イオンである。
 外部供給とは凍結防止剤や海水などによってコンクリート表面から塩化物イオンが侵入する現象である。