水酸化鉄【錆汁の元】

○水酸化鉄とは
 水酸化鉄とは鉄の水酸化物である。水酸化鉄(Ⅱ)と水酸化鉄(Ⅲ)が存在する。

○塩害による錆の生成
 アノード反応によって発生した鉄イオン[Fe²⁺]とカソード反応によって生じた水酸化物イオン[OH⁻]が反応して水酸化第一鉄[Fe(OH)2]が生成される。
 Fe2++2OH–=Fe(OH)2
 鉄イオン+水酸化物イオン=水酸化第一鉄

 

○水酸化鉄(Ⅱ)
 水酸化第一鉄のことであり、化学式はFe(OH)2である。色は白。空気中で容易に酸化され、水酸化鉄(Ⅲ)になる。

 

○水酸化鉄(Ⅲ)
 水酸化第二鉄であり、化学式はFe(OH)3である。色は赤褐色。

 

○オキシ水酸化鉄
 酸化が進行すると、オキシ水酸化鉄が生成される。
α−FeOOH (アルファ、黄)
γ−FeOOH (ガンマ、赤褐色〜白)
δ−FeOOH (デルタ、褐色)

 

○錆汁
 水酸化鉄は空気と接触することで酸化鉄となり、錆汁を発生させる。錆の発生により体積は4〜5倍に膨張する。
酸化鉄(Ⅲ) Fe₂O₃ (赤さび、赤〜黒褐色)
酸化鉄(Ⅱ、Ⅲ)Fe₃O₄ (黒さび、黒色)