錆汁【原因はセパ?鉄筋?】

○錆汁(さびじる)とは
 錆汁とは、コンクリート内の鋼材が腐食してコンクリート表面に染み出たものである。

○錆汁による影響
 茶色い液体が垂れたような状態になるため、美観を損ねる。また、錆汁の原因がコンクリート内の鉄筋の場合は、鉄筋が腐食しているため、強度上の問題がある。

 

○錆汁の発生原因
・コンクリート近傍の仮設鋼材による錆汁
 コンクリートを打設する際に使用したセパレーターやスペーサーなどの仮設材が腐食し、雨水などでコンクリート表面に流れ出た錆汁である。仮設材の腐食が原因なので、強度の問題はない。

 

・コンクリート内の鋼材による錆汁
 コンクリート中の鉄筋やPC鋼材、重量コンクリートで骨材として使用される鉄鉱石が腐食してコンクリート表面に染み出た錆汁である。鋼材が腐食して膨張するとコンクリートにひび割れが発生する。そのひび割れを雨水や地下水が通過する際に、腐食生成物がコンクリート表面へ運ばれ錆汁となる。その際、コンクリートの可溶性成分を一緒に運ぶためエフロレッセンスを伴うことがある。鋼材腐食に起因した構造物の性能低下が発生する。

 

○錆汁の成分
 錆汁は鋼材(Fe)が腐食(化学変化)して生じる。酸素と反応して参加した場合は「酸化鉄(FeO)」となり、水と酸素と反応した場合は「水酸化鉄(FeOOH)」となる。

 

○錆汁の補修
 仮設鋼材の腐食が原因の場合は、その原因となっている鋼材を取り除き、美観回復を目的としてポリマーセメント等で表面被覆を行う。
 コンクリート内の鋼材の腐食が原因の場合は、ひび割れ等劣化したコンクリートをはつり取り、断面修復を行う。