風化・老化【軟水だと劣化しやすい】

○風化・老化とは
 風化・老化とはコンクリート構造物を通常の条件で使用した時に、コンクリートが経年的に変質・劣化していく現象である。

○成分溶出のメカニズム
 成分溶出はコンクリート中のセメント水和物が周囲の水に溶解して組織が粗となる変質・劣化現象である。セメント系材料の水和反応生成物は難溶性だが不溶性ではない。したがって、水と接触するとわずかながら水和反応生成物の一部は溶解する。成分溶出のメカニズムは以下の通りである。
  1. コンクリート表面から接触する水へCa(OH)₂(水酸化カルシウム)が溶出
  2. コンクリートの表面と内部のCa(OH)₂の濃度差を緩和するために内部細孔溶液中のCa₂+とOHが表面方向に移動
  3. 移動して細孔溶液中のCa(OH)₂濃度が低下した部分で固体のCa(OH)₂が細孔溶液に溶解
  4. 固体のCa(OH)₂が消費された部位でCaO(酸化カルシウム)が細孔溶液中にCa₂+とOHとして溶解
  5. CaOが溶解した部分が脆弱化

 

○溶出の進行
 溶出が進行した場合に顕在する変質は、水と接触する表面からのアルカリ分の消失によるpH低下、および組織の空疎化による強度低下である。溶出の進行速度に大きな影響を及ぼす最も大きな外部要因は接触する水質である。接触水の成分濃度が低いほど、コンクリート内部との濃度差が大きくなり内部の溶解成分の移動が促進される。接触水が軟水だと成分溶出しやすい。